2004参院選
 
ゆとり教育 <争点 あなたのそばで>

 受験競争の過熱への反省から生まれた「ゆとり教育」。02年度に学校完全週5日制が実施され、授業内容が3割減らされた。「総合的な学習の時間」も導入された。子どもたちに「ゆとり」は生まれたのか。

 「すごく忙しくなったわ」。小学4年生の娘を持つ北区の馬澄理恵さん(47)は、昨年9月、娘が漏らした言葉が耳に残っている。

 娘は日曜日にガールスカウトの活動があるため、土曜日に休めるのは「ゆっくりできる」と喜んだ。でも宿題が多いし、総合的な学習の時間の下調べもたいへんそうだ。「学力低下への不安から土曜に塾に行かせる親も多い。週5日制になって先生も忙しそうで、学校を訪ねても、研修や会議などでゆっくり話してくれないように思う」

 ■土曜も仕事

 京都市教職員組合の02年度の報告書には、2日間休んで月曜に登校した子どもについて「イライラしている」「ボーっとしている」という言葉が並ぶ。得丸浩一・副委員長は「土曜の休みも少年野球の合宿や塾で忙しくなっている。一方で受け皿のない子どもはテレビゲームで過ごし、親に怒られイライラしたまま登校している」と話す。

 現場の先生はどう感じているのか。夕方、南区の京都市立小学校の男性教諭(58)を訪ねた。「家庭訪問をしていて、会うのがこんな遅い時間になってしまいました。生徒たちと過ごす放課後の時間もどんどん削られているんです」と最初に言われた。

 5日制で4年生以上は6時間授業が2日から3日に増えた。職員会議やテストの採点、翌日の授業の準備、家庭訪問……。放課後も忙しく夜遅くまで職員室にいることが多くなった。休みが増えると初めは喜んだが、実際は土曜も仕事を持ち帰り、休めていない。

 5日制が導入されたばかりの02年5月、京都市教組は先生約300人を対象に実態を調査した。「平日の『過密感』『多忙感』は増しましたか」という質問に、97%が「増した」と答えた。土曜出勤についても「多くある」が10%、「一部ある」75%で、「ほとんどない」は15%だった。

 「授業内容が3割減ったからといって、子どもも教師もゆとりができるわけではないんです」と男性教諭は言った。

 ■2学期制に

 3学期制から2学期制に変える動きも加速している。始業式や終業式などの学校行事、定期テストの回数が少なくなることで、「ゆとり」で減った授業時間を確保できるメリットがあるからだ。4〜10月上旬が前期、10月上旬〜翌年3月が後期。学期の間に5日間程度の秋休みをはさむ。

 京都市立校では昨年度から中学77校のうち3校、小学179校のうち53校で2期制を採用した。今年度は中学14校、小学145校に増えた。来年度からは小中とも全校に広がる見込みだ。市教委は「夏休み中も継続して個別指導や補充学習で学びを継続できるといったメリットが評価されたのではないか。2期制は特色ある学校づくりの一環。各学校の判断に任せている」とする。

 文部科学省は昨年、学習指導要領を一部改訂し、発展的な内容を教えることを認めた。ゆとり教育で学力が低下したとの批判を受けての転換といわれる。「ゆとり」は教育現場に忙しさだけをもたらしたのだろうか。

     ◆

 <ゆとり教育> 詰め込み教育への批判、反省から出てきた考え方。子どもに時間的、精神的な余裕を持たせようと、文部科学省は学習指導要領を改訂し、02年度から学校週5日制や学習内容の3割削減を実施、体験的な活動を重視する「総合的な学習の時間」を導入した。一方で学力低下を招くとの批判も相次いだ。授業時間を確保しようと、2学期制を採用する自治体や学校が全国的に増えている。

 (07/04)


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