2004参院選
 
「三位一体改革」 努力と不安と <争点の現場から>

 小泉内閣による三位一体の改革で、交付税を大幅に減らされた自治体財政は危機にひんしている。「地方の切り捨てだ」という声が各地で挙がる一方で、独自の節約でなんとか生き延びようという努力も見られる。

 佐田岬半島の先端にある三崎町。同町では4月から、ゴミ収集の民間委託をやめ、約80人の町職員が収集作業を担っている。

 日曜日以外の毎日、職員が交代で収集車に乗りこみ、午前8時から午後4時半まで町内を回る。宮本征士町長もこれまで3回、収集車に乗った。年間約1600万円節約できるという。

 町の04年度一般会計当初予算は25億3千万円。自主財源に乏しく、14億5千万円を地方交付税に頼る。国と地方の税財政を見直す三位一体改革で交付税は今年度、約2億円の減額が見込まれる。貯金にあたる財政調整基金もほぼ底をついた。

 町職員によるごみ収集は伊方、瀬戸両町と合併する来年3月まで、先細る財源で食いつなぐ窮余の策だったが、思わぬ「効果」もあった。切迫財政に対する自覚が職員や町民に芽生え、ゴミ減量への意識が高まった。分別作業への町民ボランティアも増えてきた。

 「三位一体改革に対する複雑な思いはあるが、ゴミ収集はやってよかった」と宮本町長は前向きだ。

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 6月下旬、双海町の公民館の一室にノコギリやナタで竹を切ったり割ったりする音が響いた。40人の小学生が竹細工名人の岡崎武史さん(63)から、キャンプで使う食器や湯飲み、はしの作り方を教わった。4年生の男子児童は「早くこれでご飯を食べたい」と満足そうだった。

 町教育長の若松進一さん(59)の提案で昨年から始まった「ふるさと教育」事業。竹細工のほか、小学生が漁師や農家の人と車座になって話を聞く催しなど内容は色々だ。1回当たり数十万円かかる費用は、町の一般会計から出ている。

 若松さんは全国的に有名になった「日本一の夕日のまち」づくりの仕掛け人。「まちづくりは人づくりから」との信念から、故郷を愛する心を育てる「ふるさと教育」を思いついた。

 だが合併を控える今は、多額の予算を要するまちづくりは難しい。三位一体の改革で頼りの交付税は、今年度で約6千万円減った。さらに義務教育費国庫負担制度を見直そうとする動きが追い打ちをかける。こうした状況では、ふるさと教育事業も続けられない恐れも出てきた。

 「教育にはお金がかかるが、人材を育成するためには不可欠なものだ。何事も経済効率だけで考えてよいのだろうか。本当に必要な改革とは何かを考えなければいけない」と若松さんはいう。

 (07/08)


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