2004参院選
 
主役 お国入りに熱い視線 <対決 04年いわて参院選:上>

 「主役」は、壇上の横手に置かれたテレビ画面の中にいた。

 「岩手から日本一新!」

 小沢一郎の街頭演説の映像が、繰り返し流れる。神棚の下には、小沢が出した「祈必勝」の為(ため)書き。笑顔の小沢のポスターが、壁を埋めていた。

 5月15日、民主公認の立候補予定者、主浜了の事務所開きが盛岡市内であった。約300人を前に、選対総括責任者の高橋令則は「小沢先生の代表就任を、待望していた。本当に朗報だ」と力を込めた。

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 しかし2日後、事態は暗転する。

 主浜と党県連幹事長の伊藤勢至らが、東山町の後援会幹部と会議をしていた17日夜のことだ。

 出席者の携帯が何度も鳴った。

 小沢に年金未加入期間が判明し、代表就任を辞退するとの知らせだった。

 それを聞き、主浜は驚きを隠さなかった。伊藤は、急きょ盛岡市に戻り、小沢が会見で読んだ文書を取り寄せ、党所属県議全員に、ファクスで流させた。

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 小沢の地元、水沢市。現職の椎名素夫が引退を表明。前副知事の高橋洋介を後継に指名したことで、中選挙区以来10年ぶりに、小沢と椎名の「水沢戦争」が再燃した。市内には、主浜、高橋両陣営のポスターを並べて張る商店などが目立つ。

 胆江地区で、小沢の強固な地盤を支えてきた建設業界の中にも、「今回だけは」と高橋支持に傾く業者が相次いでいる。93年の自民離党以来、自身が推した候補者を参院選で負けさせたことがない小沢にとって、初めてともいえる事態だ。

 その裏に、長年小沢の秘書を務め、民主陣営の選挙を仕切ってきた高橋嘉信の離反があった。3月初旬、嘉信は大手ゼネコン約40社の盛岡営業所から、水沢市を中心に約120人を動員して、3日間で高橋陣営のポスター1万枚を張らせた。

 無所属だが、自民と公明県本部の推薦を得た高橋は、与党候補。国直轄事業の多い胆江地区では、「与党とのパイプを太くしたい」との本音ものぞく。

 追い風に見える状況下でも、高橋陣営は気を緩めない。椎名派の県議は「油断できない。小沢さん自ら頭を下げて回るようなことがあれば、怖い」と警戒する。

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 「小沢ショック」から6日後の23日。主浜は党県連代表の達増拓也とともに、盛岡市内で十数人規模のミニ集会を重ねた。話題の中心はやはり小沢だ。「小沢先生の日本一新の考えに共鳴して、立候補を決意しました」と主浜。岡田新執行部の人事に触れた達増は、こう支持者に強調した。「直接指揮はとらなくとも、小沢流は党全体に広がっていく」と。

 党本部では「無役」となった小沢。次はいつ、どのタイミングでお国入りするのか。県内政界は、小沢の一挙手一投足に熱い視線を送っている。(敬称略)

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 7月の参院選が近づいた。「与党」対「小沢」の全面対決となる、岩手選挙区(改選数1)の舞台裏を報告する。

 (06/03)


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