2004参院選
 
「国会議員離れ」 <凪の行方 04参院選:中>

 7月11日投開票予定の参院選から2週間後に市長選を控える小山市。JR小山駅東の住宅街で5月末、立候補を予定する陣営の事務所開きがあった。

 応援に駆けつけた同市区選出の板橋一好県議(自民)は、終了後に事務所内のいすに座り落ち着いた声で言った。

 「主力は市長選だな」 参院選と市長選の両選挙について、自らの力の入れ具合を意識した言葉だった。

 現職と新顔2人の三つどもえの激戦が予想される同市長選。板橋氏のスタンスは、地元の関心を代弁したものでもある。参院選の選挙運動に携わる市議の一人は「現職の名前すら市内で一向に聞かれない。参院選を知らない市民もいた」とこぼす。

 板橋氏は自民党県連から党公認候補の応援を頼まれている。

 選挙区が全県1区の参院議員と、地元の事情や政治に通じる市長。県議や市議らにとっては、自分の支持者と有権者の枠が重なる市長選での票の行方がより関心事だ。

 「もう少しチャンスを与えて頂ければ幸いです」。板橋氏は4月、自らが推す立候補予定者への支持を訴え、後援会員に向けて1万2千部の手紙を配った。昨秋の衆院選でも書いたが、参院選でするつもりはない。

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 参院選と首長選の関心の差。衆院選以上に地元色が薄く、政党対決が鮮明になる参院選は、地方には「遠い選挙」と映る。

 5月に阿部和夫市長が無投票で再選した鹿沼市。自民と公明が推薦した阿部氏に対し候補者擁立の動きも見せた民主だが、民主市議の2人は阿部氏を支持した。その一人、山崎正信氏は「自分の判断で決めた」と話す。

 事情を知る県議は「政党より市長との距離感が支持の基準になる」と説明する。市議は選挙協力で議会活動や市政を通じた見返りを狙う−−。そこに政党の主張が入り込む余地は少ない。

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 「ヒット作だよ」。宇都宮市の福田富一市長が自慢する事業がある。西原立体だ。市内有数の渋滞地点、国道4号の川田入口交差点を立体化し、JR宇都宮線をもくぐらせるという大工事だ。「国から何十億円も多く事業費が引き出せたんだ。国会議員の助けなしで」

 実は助けを借りなかったのではなく、借りられなかった。00年衆院選。1区で船田元氏が敗れ、県都がその後3年余、「自民王国」栃木の空白地帯となったためだった。

 「参院議員はいた。でもやっぱり全県区じゃ、どうしても国への説得力が弱いんだ」。「地元の先生」に頼む従来の手法を失っていた。

 国は当初、限度額70億円の援助を認めていたが、とても足りなかった。現場の交差点は1時間の車の交通量が2500台と、通過容量の1・6倍に達する過密状態で、対策を迫られた。市職員が県や国交省と議論を続け、立体整備の必要を訴えて3年後の02年。ついに国から限度額より50億円アップの補助を引き出した。

 「驚いたね。でも分かった」と福田市長は力を込める。「事業の重要性や優先度が高ければ認められる。もはや国会議員の仲介で融通を利かすほど国も財源に余裕はない。要は自治体自身のやる気と説明力なんだ」

 「三位一体」改革と地方分権の流れは、地方自治体の国会議員離れも加速させる。その意識は、参院議員により顕著に現れる。「年金に自衛隊派遣、北朝鮮……国政の争点は多いのに。有権者の関心度がつかめない」。ある参院議員の陣営幹部がぽつりと言った。

 (06/06)


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