2004参院選
 
あの課題は今:1 年金改革 <審判’04 参院選あいち>

 昨年秋の総選挙では、各党がマニフェストを掲げ、これまでになく具体的な政策を掲げて戦った。それから半年余。国会は終盤を迎え、与野党は参院選に向けて対決ムードを高める。声高に訴えていたあの課題は今、どうなっているだろう。

 ○「未納」の波紋

 平日の午後。整理券を手にした人たちがいすに座り、順番を待つ。岡崎市朝日町の社会保険事務所の年金相談窓口。毎日約30件の相談がある。

 同市の自営業の女性(59)は、1時間以上待たされた。「この場合ですと……」。職員がてきぱきと説明する。付き添う長女(36)が「もう一度」と何度も尋ねた。「丁寧なんだけど、難しくって」

 女性は6月、60歳を迎えるが、年金の未加入期間が5年5カ月あることが分かり、給付額について相談に来た。

 60年4月、中学を卒業して就職。厚生年金を払っていたが、19歳で結婚退社した時、理由は分からないが脱退してしまった。会社勤めだった5歳年上の夫は厚生年金に加入していたが、当時、専業主婦は任意加入。夫婦で自営業を始める69年10月まで空白期間になった。

 65歳から年金を受け取る場合、給付額は年68万円余。9月に65歳になる夫の給付額は年約95万円。長男夫婦と孫の6人暮らしだが、2人で約160万円では心細い。

 65歳まで保険料を払い続ければ給付額は年間約10万円増える。その間の掛け金は約80万円。社会保険事務所の職員には「73歳まで生きたら元を取れますよ」と言われた。

 現在、審議中の年金改革関連法案が成立すれば掛け金はさらに増す。

 「給付金をもらえる保証があれば払ってもいい。それがあるかどうか」。説明を聞いた長女はつぶやいた。

 名古屋学院大(瀬戸市)の男子学生(20)は今年、成人式を済ませ、大人の仲間入りをした。アルバイトで多い時に月約5万円を稼ぐが、毎月年金は納められない。親が肩代わりし、就職後に返済するつもりだ。

 国会議員らの未納問題が騒がれてから、年金制度は「信用できない」。「若い人の未納が多いと言われているが、未納者が増えて制度が駄目になったら、結局、税金で賄うしかないのでしょう?」

 ○怒りと心細さ

 昨秋の総選挙で自民党は政権公約で「04年に年金制度の抜本改革を実施」と約束した。公明党も「年金百年安心プラン」をまとめ、民主党は国民、厚生、共済年金の一元化、最低保障年金の実現を訴えている。有権者の関心は高まったが、論議の行方は不透明だ。

 NTT子会社に勤める男性(56)は、5月15日付の労働組合のチラシを見て手が震えた。

 「一部修正し衆院可決 抜本改革の道筋残す」。保険料を引き上げる政府の年金改革関連法案が11日、賛成多数で衆院を通り、自公民3党合意を評価する内容の文字が踊っていた。「労組もか。冗談じゃない」。怒りがこみ上げた。

 高齢化が進む春日井市の高蔵寺ニュータウンに家を建てたのは80年。妻(56)と共働きで息子3人を育てた。老後の不安など感じたことはなかった。

 一転したのは3年前。NTTの合理化計画で妻が退職した。男性は子会社に移り、月給が手取りで約10万円減った。住宅ローンは妻の退職金で完済したが、老後に不安を感じ始めた。年金改革関連法案が追い打ちをかける。以前、64歳からの年金収入は月平均約20万円と、会社が試算したのを覚えているが、「職場も国も守ってくれない。どうなるのか見当もつかない」。

 疲れて帰宅すると、「給付と負担を適正に」などと、与党幹部が訴えるテレビを見た。

 「将来を見据えた法律を作ってこなかったのが悪いのに、しわ寄せは全部、働く人たち。納得できるはずはない」

 (06/02)


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