2004参院選
 
あの課題は今:3 郵政改革 <審判’04参院選あいち>

 山の中の坂道をバイクがトットットッと上がってくる。「郵便屋さんだ」と民宿を営む原田民子さん(83)が出迎えた。午後2時過ぎ。朝刊はいつも郵便でこの時間に届く。

 豊田市の東隣、下山村羽布の六郎小屋地区。村の中心部から東へ山道を登ること15キロ。多い時で5戸あったが、今は2戸。電気も21年前にやっと通じた。

 同村の下山郵便局の吉田嘉尚局長(44)は「郵便局はこんな所へも毎日、郵便を配っているということを分かってもらいたい」と言う。

 ○見えぬ具体論

 参院選を前に「郵政民営化」の論議が盛んだ。だが、政府の経済財政諮問会議が4月にまとめた改革の基本方針の中間報告でも具体論は盛り込まれなかった。それだけに「小規模な特定郵便局を大幅に削減するのではないか」などと特定局長の不安は高まる。

 下山局も特定局で124年の歴史がある。1930年に曽祖父(そうそふ)が引き継ぎ、嘉尚さんで4代目。

 嘉尚さんが特に気になるのは、郵政公社化以来、流れが急になった「効率化」だ。それだけに改革論議の中でも全国での一律サービス(ユニバーサルサービス)が維持できるのかと心配する。

 「毎日配ってこそ新聞。例えば過疎地の局を廃止したり、配達が3日に1度などとなれば、影響は大きい」

 東三河地方のある特定局も30部ほど新聞を扱うが、同局は「民間で同じ料金でやるのは無理」と話す。

 また「郵便局が村おこしの先頭を切らないと」という思いも強い。下山局は、局員が配達の途中に一人暮らしのお年寄りの様子を見る「ひまわりサービス」を97年に県内で最初に始めた。「ふるさと小包」も20年前に制度が始まって早々に着手した。

 ○「地域の安心」

 地元とのつながりを強調するのは、一宮市の市街地から少し離れた一宮別明郵便局の久保全司局長(51)も同じだ。

 「『嫁に財産を預けられない』というおばあちゃんが、はってでも来られる近さが郵便局の魅力。時間を掛けて地元の人と付き合うことが、利用者の安心感につながる」。地域から郵便局が消えることを懸念する。

 特定局長OBら郵政出身者でつくる自民党の職域支部、県大樹支部は会員約5千人。民営化には一貫して反対してきた。支部幹事長の大嶋重信さん(71)は「やはり、ユニバーサルサービスが維持できなくなるのが一番の問題だ」という。

 また、党大樹東海地方連絡協議会の岩野孝さん(68)は「政府が民営化を進めていることに対し、危機感は強いが、党は反対しており、そういう候補者を推してきた。公社ができてそんなに時間がたっておらず、まず、公社の経営改革を進めるべきだ」と話す。

 (06/04)


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