2004参院選
 
あの課題は今:4 地方制度改革 <審判’04参院選あいち>

 「三位一体改革について住民から聞かれることはありますか」

 県の海老原諭・財務管理監兼財政課長が尋ねた。豊田市や同市と合併予定の6町村の幹部は皆、首を横に振った。

 5月28日、同市役所で、県による三位一体改革の「出前講座」が開かれた。県民の求めに応じて、県財政課の幹部が出向いて説明する。「分かりにくい三位一体改革を県民に理解してもらうことができないか」。神田真秋知事の指示で始まった。

 補助金削減、税源移譲、地方交付税の見直しを三位一体改革と呼ぶ。神田知事は2月の県議会での今年度予算案の審議のなかで、「削減された補助金に対して税源移譲は4分の1にも達しない。しかも地方交付税が十分な議論もなく一方的に削減された」と不満をあらわにした。

 ●「格差」も懸念

 4日、「経済財政運営の基本方針(骨太の方針・第4弾)」が閣議決定され、「3兆円規模の税源移譲を目指す」ことが盛り込まれたが、その分、どんな補助金を削るのかは、自治体側で考えてほしいとしている。しかし、自治体の財政事情は千差万別だ。

 名古屋大学経済学部の竹内信仁教授(財政学)は、補助金削減と税源移譲のバランスだけでなく、「交付税の抑制が続けば、自治体間の行政サービスの格差が拡大する。交付税でどこまで行政サービスの水準を確保するべきか、真剣に議論すべきだ」と、地方交付税の動向に警鐘を鳴らす。

 全国規模で補助金削減に見合う税源移譲が行われても、人口が少なく産業もない小規模な自治体では、税源が確保しにくい。歳入減の懸念は消えない。

 三位一体改革が進むなか、国や県から市町村への権限委譲は一歩先んじて進んできた。

 5月25日、岡崎市の柴田紘一市長は、東京で開かれた全国35の中核市で作る「中核市連絡会」に出席した。税源移譲の早期実現などを強く求める共同アピールを採択し、内閣府などに提出した。

 同市が中核市に移行したのは昨年4月。国や県から2452項目の権限が移譲されたが、人件費は増え、県の補助金は減り、約17億円強の負担増となった。来年には財政難にあえぐ額田町との合併を控える。三菱自動車岡崎工場の閉鎖決定で法人市民税の落ち込みも予想される。

 同市の坂田吉久・財政部長は「権限に見合う財源の移譲がなければ、市民の要求に応えられない事態を招く」と心配する。

 ●合併利点とは

 三位一体改革は、市町村に合併を促している。奥三河地方では、県内で最も財政事情が厳しい富山村と、東栄町、豊根村の合併協議が続いている。三位一体改革で財政難に拍車がかかると予想されるためだ。

 東栄町は、補助金や地方交付税などの依存財源は7割超。山本典式助役は「町単独では生き残れない。先に進むしかない」と説明する。

 だが職員の中には「財政状況の悪い町村の寄り合いでは、合併の利点があるのか」という声もある。

 三位一体改革、中核市、合併。制度改革の波は相互にからみ合い、市町村を翻弄(ほんろう)している。

 (06/05)


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