2004参院選
 
あの課題は今:6 大型公共事業 <審判’04参院選あいち>

 「ここが(豊川上流の)境川の末端部分で、水没する戸数が最も多い場所。100年後の堆砂(たいさ)量を想定して建設工事を進めます」

 今月2日、設楽町八橋地区。新村孝行・国土交通省設楽ダム工事事務所長は、県環境部職員10人を設楽ダム建設予定地に案内した。新緑に包まれた建設予定地は、川のせせらぎが心地よい。

 ○「日本で最後」

 愛知万博(愛・地球博)の開催、中部空港開港を来年に控え、県が次に抱える大型公共事業が貯水量1億トンの設楽ダム建設。全国各地でダム計画の見直しが進む中、今のところ設楽ダムは国が造る「日本で最後の新規大型ダム」と言われる。73年に計画が持ち上がり、町は反対、容認で揺れに揺れた。約20年の経過を経て92年に町は条件付きで現地調査を容認、「ダム反対」から「やむなし」に変化していった。

 「難しい問題を子や孫の代まで引きずりたくない」。住民が選んだのは、早期解決に向けての条件闘争。6項目の約束を取り付けた町はトンネル建設、広域農道整備、老人ホームの建設助成などの恩恵を受け、今年3月末に水没関係予定地、全122戸の家屋測量調査が終了した。

 「計画から完成まで日本で最も長く、調査は最も早いダムになるだろう」。同ダム対策協議会会長の大久保成一さん(77)は、設楽ダムの特徴をこう説明する。

 ダムのように長期にわたる大型公共事業で問題になるのは、水需要などの変化とともに、コスト増だ。ダム建設費は97年に概算で2千億円と示されたが、実際に負担割合などが示されるのは基本計画ができてから。基本計画は着工の1、2年前。県の負担割合もそれまで知らされない。徳山ダム(岐阜県)は、水資源機構が事業費を2540億円から1千億円増額すると発表し、周辺自治体から猛反発を受けた。

 ○分かれる態度

 「買い物は、だれでも値段を見てから買うかどうかを決める。工事が決まってから値段を付けるのはおかしい」。設楽ダム計画の見直しを求める豊橋市民の会の鷲田豊明代表は強調する。

 自民党は今回の参院選でも、豊川水系の豊川用水2期事業と同ダムの早期建設を重点施策の一つに掲げる。共産党は「暮らし第一」と、巨額を投資する同ダム建設には反対を貫く。

 両党が設楽ダムに対する明確な態度を示している中、川辺川ダム(熊本県)、諌早干拓(長崎県)などの計画の即時中止を掲げる民主党は、設楽ダムの是非については明確な判断を示していない。同党県議団が反対の立場を示していないためだ。

 水没予定者でもある後藤米治・設楽町長は「ダムが必要か必要でないかは問題ではない。下流域からの要望があり同意した。誰でも住み慣れた場所から離れたくはない。住民が望むのは、いかに納得できる生活再建の保障をしてくれるかだ」。

 豊橋市など豊川下流域5市5町でつくる「豊川水系総合開発促進期成同盟会」会長の早川勝豊橋市長は「渇水が常態化しており、水は安定的に確保された方がいい。洪水も安全対策が講じられるべきでダムはやむを得ない」と必要性を説く。

 順調に進めば、国は07年に着工する方針だ。

(おわり)

 (06/08)


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