2004参院選
 
名門・修猷館柔道部OBに波紋(問う04参院選)

 参院選をめぐり、福岡県立修猷館高校柔道部の卒業生の間にさざ波が起きている。戦前は広田弘毅・元首相や安川電機を興した安川第五郎・元九電会長らが輩出し、戦後も山崎拓・前自民党副総裁らを送り出した。このクラブゆかりの2人が、福岡選挙区に立候補を表明した。各界に張り巡らされた人脈の中で、OBたちは悩ましい選択を迫られている。

 「残り1カ月、OBみんなで頑張ろう」

 7日夜、福岡市中央区にある自民党の吉村剛太郎参院議員(65)の事務所にOB約20人が集まった。吉村氏も57年卒のOB。3期目をめざす選挙を支えようと、毎週月曜にパンフレットの袋詰めなどを手伝っている。

 呼びかけた弁護士、中山茂宣さん(66)は「見返りを求めない純粋な気持ち」。吉村氏の1年先輩になる。

 だが、今回のOB会は一枚岩ではない。高校1年まで部員だった元自民党県議、古川忠氏(55)も立候補するからだ。おじが山崎氏と同期のOBで、山崎氏は水面下で古川氏を支援している。

 福岡県古賀市の中村隆象市長(55)は古川氏と同じ67年卒のOB。98年参院選は吉村氏を推したが、今回は古川氏の応援に回った。「畳の上で一緒に汗を流した仲間。吉村先輩に恩はあるが、友情には代えがたい」。古川氏の事務所開きには、約10人のOBが顔を見せた。

 柔道部は1895年創部。草創期には広田のほか、東条英機政権と対決した政治家、中野正剛らがいた。彼らは頭山満らが福岡で設立した政治結社「玄洋社」とかかわりを持ち、付属道場「明道館」に通った。戦後も人脈は重なり合う。山崎氏は玄洋社幹部の孫で、現在は財団法人明道会の理事長。理事名簿には吉村氏の名もある。

 こうした中で天下国家を語る気風が根付いたとみるのは、玄洋社記念館理事長で柔道部OBの元福岡市議会議長、久保田秀己さん(84)。「国のために働いた先輩を身近に感じる環境が、政治の道へ進ませたのだろう」。山崎氏も「政治に関心を持ったのは、柔道部にいたから」と話す。

 03年総選挙では福岡2区に山崎氏、福岡5区に原田義昭氏(59)と、OB2人が立候補した。だが、山崎氏は落選し、当選した原田氏も学歴問題で5月に文部科学副大臣を辞任した。伝統に陰りも見える中、古参OBたちは「吉村を」「いや古川を」と参院選に力を入れる。

 ただ、若手からは「OB同士が選挙で割れるのは心苦しい」「今どき上下関係で投票するのはどうか」との声も。藤野善剛OB会長(61)も「思いはわかるが、今は現役を強くすることに力を注ぎたい。次の時代の人材を育てることが私たちOBの役目」と話す。

 現在の部員は13人で、うち4人は女子。戦前は金鷲旗柔道大会の前身の大会で9回優勝したが、近年は高校総体からも遠のいている。昨秋に完成した216畳敷きの柔道場にはOB800人余の名札がかかる。部員たちは歴史を背負いながら練習に励む。

 ◆修猷館柔道部OBの主な政財界人

 (敬称略)

 山崎拓(前自民党副総裁)

 橋田紘一(九電常務)

 原田義昭(前文科副大臣)

 中村隆象(福岡県古賀市長)

 《故人》

 広田弘毅(元首相)

 中野正剛(元衆院議員)

 安川第五郎(元九電会長)

 太田清蔵(5代、元東邦生命会長)

 三輪寿壮(元社会党衆院議員)

 原吉平(元ユニチカ会長)

 阿部源蔵(元福岡市長)

 倉田興人(元三井鉱山社長)

 (06/11)


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