2004参院選
 
自衛隊イラク派遣(争点を追う 04参院選:中)

 イラクに派遣されていた陸上自衛隊の第1陣約480人が5月、相次いで帰国した。出迎えた家族と抱擁し合うなど、無事の帰国を喜び合った。

 県内には陸自和歌山駐屯地(美浜町)、海上自衛隊由良基地分遣隊(由良町)、航空自衛隊第5警戒隊(串本町)の3部隊がある。イラクに派遣されたのは北海道の部隊が中心だが、県出身者が第1陣に1人、交代で派遣された第2陣に3人がいる。

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 3月13日に和歌山市小松原通1丁目の県民文化会館で開かれた「スプリングコンサートin和歌山」。自衛隊の音楽隊や地元ピアニストが出演し、大ホールに市民ら約2000人が集まった。

 元々は、県幹部や防衛政策に協力的な民間団体が、自衛隊への入隊者や防衛大進学者を励ます会だった。2年前までは県内5カ所で地域別に開かれていたが、昨年から一本化された。

 主催団体の役員を務めた那賀町名手市場の向井征(すすむ)さん(66)はこう訴える。「イラクに派遣される隊員は命懸け。政府はそれを肝に銘じて欲しいし、国民もひとごとだと思わないで欲しい」

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 「なぜ自然公園で軍事訓練なのか」。美浜町三尾に住む東原史朗さん(75)は怒る。同町和田の陸自和歌山駐屯地の部隊が計画している「水際(すいさい)地雷(機雷)」の敷設訓練をめぐって、地元住民の反対運動が起きている。

 計画では、景勝地の煙樹ケ浜で、約80日間にわたって敵の上陸を阻止するための機雷の敷設訓練をする。同様の訓練は現在、北海道でしか行われていない。

 終戦直後に不発弾の暴発で大けがをした経験を持つ東原さんは5月、訓練に反対する住民グループ「美浜の自然を守る会」の会長になった。定年後に大阪から美浜町に移り住み、政治とは無縁な生活を送っていたが、今回の問題で自衛隊に不信感を持ったという。「住民の意思を無視して一方的に部隊を改編した。昔の軍隊みたいだ」

 反対運動を横目に、大阪防衛施設局は「訓練の概要を見てもらいたい」として町、御坊市、漁協に対し、デモンストレーションの実施を持ちかけている。

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 「ギョライのこと、教えてもらったよ」。初めて海上自衛隊の護衛艦を見学した幼稚園児(5)は母親と手をつなぎながら、誇らしげに話した。6月5、6の両日、2隻の護衛艦の一般公開が新宮港であった。新宮市や近隣市町村から約3000人が訪れ、船内に乗り込んだり、約45分間の「体験航海」をしたりした。

 自衛艦の一般公開は、自衛官の採用やPRの窓口となっている和歌山地方連絡部が毎年1回、県内の港で実施している。見学者に自衛官が「よろしかったらどうぞ」と手渡した書類の中には、自衛官の募集要項が記されたパンフレットもあった。

 新宮市内の主婦(38)は「格好いい」と無邪気に喜ぶ子どもを見て言った。「格好いいというより、子どもが戦場に行ったらどうしようかと、むしろ心配の方が先に立ちます」

 小泉首相は多国籍軍に自衛隊を参加させる方針を表明した。一方で治安が悪化するイラク。自衛隊を取り巻く環境は確実に変わりつつある。

 (06/13)


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