2004参院選
 
公共事業減少 <変わる 選ぶ:上>

 日本海に面した桧山支庁北桧山町の田園地帯。初夏の日差しを浴び、蒸し暑いビニールハウスの中で山崎常正さん(73)がトマトやキュウリを育てている。

 山崎さんは、町内の建設会社伊関組から委託され、野菜の栽培を手がける。同社は02年から多角化の可能性を探るため農業に取り組んでいる。伊関組専務の狩野良さん(50)は「公共事業のみに頼る時代ではない。野菜栽培が自立したビジネスになるか調査している」と狙いを語る。

 休耕田に長さ50メートルのビニールハウスを5棟建てた。山崎さんは農閑期に同社で働いていたコメ農家だった。野菜作りは初めてで、「化学肥料に頼らずに病気を防ぎ、形を整えるのに気をつかう」と話す。

 野菜を売る場所は間伐材で建てた10カ所の無人販売所。キュウリ5本ぐらいで100円。年商は約170万円だ。

  □    ■

 町内の別の建設会社、北工建設も今年2月、羊の飼育やレストランを経営する別法人を立ち上げた。「公共事業はいずれ減る」と10年前から見通し、今は酪農の跡地にサフォーク種約400頭を飼う。

 昨年度の売り上げは約2000万円。本業の6億円には遠く及ばないが、山北博明総務課長は「3〜4年で黒字化し、2000頭に増やしたい」と意気込む。国産肉の安心感を背景に、札幌市の有名ホテルなどから注文が舞い込んでいる。

 北海道開発局によると、一般公共事業費にあてる北海道開発事業費は今年度約7683億円。5年前に比べて年度当初比で17.4%減った。

 桧山地方北部の建設会社は地域おこしを目指し、92年に「北部檜山建設を考える2010の会」を結成。伊関組や北工建設など19社が参加する。

 会長を務める坂本建設(今金町)の松下正幸社長(44)は「行政もコスト削減の意識が進み、公共工事はもうからない。とりわけ農業土木は割に合わない。多角化は必然だ」と話す。会員は家畜の尿の液肥化や水稲の試験栽培をした。今年は畑作にも挑戦する。

 ただ農業は、本業にできるほど簡単ではない。松下社長は「まず農地取得が面倒。規制緩和が進んだら考える」と慎重だ。「本業はあくまで建設業。公共事業が減ると食っていけないのが現実だ。過疎を切り捨てるような政策は許せない」

  □    ■

 伸ばした触手がうまく成長した例もある。道央の建設会社は01年、別会社で子供服の店を始めた。婦人服メーカーで営業経験のある次男(33)が陣頭指揮する。札幌などに3店舗を構え、社員、アルバイト10人を雇う。年商は5000万円になった。

 「日銭を稼ぐ小売業が理解されにくいのか、同業から『道楽はやめなさい』と言われたこともある。でも、逆に言いたい。政治家に頼んで仕事をもらう時代でもないと」。選挙が近づくと、建設会社に政治家が現れる。そのポスターが彼の店先に張られることはない。

   ◇

 参院選は今月24日公示、来月11日に投開票の予定だ。選挙を前に北海道の構造と政治意識の変化を追う。

 (06/16)


 参院選 各都道府県のニュース   一覧>>

ニュースの詳細は朝日新聞へどうぞ。購読の申し込みはインターネットでもできます。
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 著作権 | リンク | プライバシー |
Copyright Asahi Shimbun. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission