2004参院選
 
年金 不信と関心(争点を追う 04参院選:下)

 ホテル、多目的ホール……。東京ドーム77個分にあたる約360ヘクタールの敷地に閉鎖中の建物が点在する。

 那智勝浦町と太地町に広がる大規模保養施設「グリーンピア南紀」は昨年3月末、閉鎖された。今は広場や野球場など屋外施設に限って一般に開放されている。

 旧厚生省所管の特殊法人「年金福祉事業団」(現・年金資金運用基金)が公的年金の積立金を使い、約122億円で建設した。開業は86年。97年度以降赤字に転じ、累積赤字は約1億円だった。

 国は05年度末までに全国に13あるグリーンピア施設を廃止する方針を決めている。同基金はこれまで3施設を売ったが、いずれも売却価格が建設費を大きく下回った。建設費約81億円のグリーンピア二本松(福島県)の場合、売却価格は約3億円だった。

 「南紀」については那智勝浦、太地両町と売却交渉が進むが、売却価格が建設費を大きく下回るのは確実だ。積立金からの持ち出しは避けて通れないが、その責任の所在はあいまいなままだ。

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 次々と明らかになった政治家の国民年金保険料の未納・未加入問題。その影響は様々なところに及んでいる。

 「政治家も払っていないから払わない」。社会保険事務所の職員らが未納者を戸別徴収に訪れると、この言葉が返ってくるようになった。

 参院選立候補予定の4氏はどうか――。強制加入以降の状況を次のように明らかにした。

 自民現職の鶴保庸介氏(37)は議員在任中の1カ月を含む計5年3カ月分未納・未加入▽民主新顔の川条志嘉氏(34)は免除申請の後、今年4月から納付▽共産新顔の国重秀明氏(43)は納付▽維新政党新風新顔の関佳哉氏(60)は調査中だ。

 高齢者世帯の約6割が公的な年金だけで暮らしている。しかし、国民年金保険料の納付率はすでに大きく下がっている。県内でも02年度は66.1%で5年前の81.4%から大幅に落ち込んだ。若い人ほど納付率は低く、20代は51.9%だった。

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 一連の年金をめぐる騒動は、「不信」というマイナス面だけでなく、「関心」という意外な効用ももたらしている。

 住宅地にある和歌山市太田の和歌山東社会保険事務所では相談件数が増え、窓口には1日平均120人が訪問、長い人は1時間以上待つ。

 同市の会社員(40)は加入状況が心配で、訪れた。問い合わせた結果、学生時代と転職時に計約3年間、国民年金を払っていなかった。年金受給に最低必要な加入期間の25年に8年足りない。

 中学生と小学生の子どもが2人。2月から義母が入院した。給料から引かれていた年金保険料を見る目が変わった。「法案成立で老後と、負担が増す子どもの将来が心配になった。議論して内容をもんで欲しかった」

 アルバイトで平均月約3万円を稼ぐ和歌山大学大学院の男子学生(24)は、年金までは納められず免除申請を続けているが、来年の就職を機会に払うつもりだ。

 「いまの制度が続いても崩れても将来が怖い。選挙中は甘い言葉だけでなく、根本的にどうするのか、示して欲しい」

 (06/15)


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