2004参院選
 
細る自治体財源 <変わる 選ぶ:下>

 石狩市花川南の公民館跡地。来春には新公民館と市の出張所が入る複合公共施設が完成するはずだった。市は昨年秋の補正予算で6億円を計上し、今年度の当初予算でも1億円を追加することを予定していた。

 ところが、数日後に建設業者の入札を控えていた1月下旬、突然事業の休止が決まった。地域の集会は他地区の公民館などを借りて開いている。青野誠助役は「補正までして予算化した事業を凍結するのは異例中の異例」と嘆く。

 石狩市は今年度の予算編成作業の際に5億円の財源不足が見込まれ、もともと歳出の削り込みに力を注いでいた。ところが、最終盤でさらに財源不足が4億円増えた。その「穴埋め」が、この施設の建設凍結だった。

 ほかにも上下水道完成の先送りで1億5千万円を浮かせ、一般職員の給与5%削減や体育施設利用の全面有料化、高齢者バス乗車券交付額の引き下げなどで何とか予算のつじつまを合わせた。

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 複合施設整備で市との調整にあたった市連合町内会連絡協議会長の佐藤豊治さん(76)は「企業ならやらない事業。中止やむなしと地元から申し出た」という。

 財源不足は小泉内閣が進める「三位一体の改革」の反映でもある。国から地方への補助金や地方交付税の縮小、削減と税源移譲がうたわれている。04年度は地方交付税6.5%、交付税の不足分を補う臨時財政対策債28.6%、計2兆9千億円が減った。市があとから直面した4億円の財源不足はこの臨時財政対策債の減少分だ。

 建設会社会長でもある佐藤さんは長年の自民党支持者。90年代の赤字国債急増も、そのツケが地方の財源縮小で跳ね返ってくるのも仕方ないと割り切る。ただ、振り回される一般市民の戸惑いをどれぐらい政治家が理解しているのか。年金未納に代表される「庶民とかけ離れた感覚」は我慢できないと感じている。

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 改革の影響は箱ものだけではない。石狩支庁当別町に住む藤川勝信さん(60)は週3回、札幌市まで人工透析に通う。JRやバスを乗り継いで片道1時間半。

 3月までは町から人工透析の交通費補助が出ていた。半年で3万数千円。財政悪化を理由に4月から打ち切られ、全額自己負担になった。「議員定数や建設事業など、ほかに削れる分野があるのではないか」と思う。

 当別町は福祉・医療の補助が手厚い町として知られてきたが、この数年は削減が相次ぐ。透析のほか、終日の救急診療を午後9時までに短縮し、65歳以上の人に毎年5千円支給していた健康管理手当や喜寿・米寿・白寿の敬老祝い金は廃止した。

 町営スキー場を休止し、町道の除排雪の回数も減らした。職員の人件費も削っているが「駅前整備などでかかった地方債の償還が増え、福祉も削減せざるを得ない」(富永和彦総務部長)。

 藤川さんは最近政党のマニフェスト(公約)を「実効性があるか否か」の点からじっくり読むようになった。生活に密着した公約を打ち出しているかをポイントに投票しようと考えている。

 (06/18)


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