2004参院選
 
自民勢力のきしみ <04参院選 奔流・保守王国(下)>

 自民党県連会長の津島雄二は不機嫌だった。

 「オレも津軽の政治家だ。木村太郎君がやらないからと言って、4区で戦えないわけじゃない」

 6月6日、弘前市内で開かれた政策演説会。主催者は木村守男の長男で4区選出の太郎。党公認の奈良秀則を迎えた決起大会だったが、400席のうち、100席ほどが空席。津島が最前列に座った壇上の来賓席も空席ばかりが目立った。津島のいら立ちは、党内の不協和音に向かっていた。

 ●前知事の影響

 3選を果たした木村守男は昨年5月、女性問題をめぐって知事職を追われた。「おやじ(守男)は津島につぶされた。簡単には奈良を応援できない。おやじが選挙に出ればいつでも戦う」。木村の後援会幹部は息巻く。

 津島に近い県議たちは昨年3月、守男の不信任決議案に賛成した。さらに、奈良擁立を津島が終始、主導したことが津島系の県議と木村派の関係に微妙な影を落とす。

 5月18日夕。青森市内であった青森大学の薬学部開設パーティーに、その守男が姿を見せた。懇親会で、守男は最前列中央にあるテーブルの席を用意された。

 「参院選に出てください」「期待していますから」。周囲には建設業関係者や教育関係者らの人だかりが絶えなかった。

 だが、守男は自らの去就について、公の席で発言を控えている。この日も「ありがたいことです」と言うのみ。県政関係者からは、守男の政治生命は終わったとの見方と、自らの影響力を維持しつつ、3年先の知事選までを見据えているとの見方が交錯している。

 ●復帰打ち消す

 ただ、木村派県議は守男の政界復帰説が流れるたびに、打ち消しに躍起だ。守男が自民党と争うようなことになれば、息子、太郎の党内での立場に影響が出かねないというわけだ。19日には4区の緊急役員会を開き、奈良支援態勢の強化を決める手はずをとった。だが、ある木村派県議は「4区は取り組みが甘いと責められるが、3区を除けばみんな一緒じゃないか」と悔しがる。

 その3区は津島と並んで、県政界に影響力を持つ大島理森の選挙区だ。昨年の衆院選では、県内で唯一、比例区で民主党が自民党を上回り、大島自身も長年競合してきた田名部匡省の長女、匡代に追い上げられた。

 大島は参院選に向け、国政報告会などを頻繁に開き、「この選挙は地盤が重なる田名部をつぶす戦いだ」(大島周辺)。来年秋には、旧県民協会系が現職の八戸市長選も控え、参院選は自らの選挙との意識が強い。

 ●一線画す流れ

 一方で党関係者の間では、参院選で奈良が惨敗するようなら、県連会長は大島に代わるとの観測が出ている。そんな大島に急接近しているのが木村派だ。太郎と木村派県議は3月、4月と青森、東京で相次いで大島との会合に出席。都内のすき焼き屋では2区の江渡聡徳も参加し、ワイングラスを傾けて談笑した。

 大島派県議は守男の不信任決議案の採決で反対に回り、守男支援の形をとった。両派県議の三村県政に対する評価も似通う。「県の財政難は理解している。だが、何もかもカットし過ぎだ」との声が上がる。

 こうした流れは、三村県政を全面支援する津島とは一線を画しているように見える。津島の側近議員は「参院選で完勝し、津島の会長留任が必要だ。三村には他にパイプがないんだ」と漏らした。

 県選出国会議員6人のうち、自民党が5人を占める中、党の結束に必要な明確な対抗勢力は失われた。だが、次期衆院選や3年後の知事選もにらみ、水面下での駆け引きはすでに始まっている。

 (06/19)


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