2004参院選
 
反面教師 <04参院選 不安の風景>

 「誕生日のプレゼントだからね」。下伊那郡根羽村で小売店を営む片桐裕子さん(53)は先月、東京の大学に進学した長男が20歳になったのを機に、国民年金の保険料を親元で支払ったことを電話で伝えた。

 「少しでも安くなれば」と、割引がきく年額一括払いを選んだ。「国会議員さんにとっては、月額1万3300円なんて、1日で使ってしまう額だろうけれどね。老後に困らないから、支払いが世の中のためになっていることなんて、考えていないでしょう」

 国会議員の年金未納・未加入が相次いで明らかになり、片桐さんは、国民に負担を強いる側の国会議員が、果たすべき義務を怠っていることに批判の目を向ける。

 根羽村は国民年金保険料の市町村別納付率が全国トップ。小木曽亮弌村長は「県民税などを区ごとに取りまとめて完納をめざしてきた取り組みで、村民の年金への意識も高いのでしょう」と説明する。ただ、「まじめに納めた人がしっかり報われるか不安もありますが……」と付け加えた。

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 上田市の土地家屋調査士、蓑輪佳明さん(49)は、国会議員らの未納問題が相次ぐ中、社会保険庁のサイトで自らがもらえる年金を試算した。「思ったより、少ないな」と感じた。さらに「試算結果は将来の年金額を保証するものではありません」とただし書きがあるのに、不安を覚えた。

 それでも、東京の大学に通う長男(21)に、国民年金の猶予制度の手続きを親元で取ってあることは知らせた。「18歳の次男にも、猶予制度があることを説明した。未納問題のおかげで、家族で年金について認識を深められたのは良かった。ただ、政治家が反面教師になっているのは、悲しいね」という。

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 「幸い、県関係の国会議員で問題となる人はいません」。5月22日、松本市で開かれた自民党県連大会。壇上で村井仁県連会長がこう述べると、会場にいた向山公人県議(伊那市選出)の表情が険しくなった。

 年金納付状況について国会議員の説明責任が求められる中、自民党本部は所属国会議員の加入状況を公表していない。

 この日、県連大会に先立つ役員会で、向山県議は「党本部に未納・未加入の国会議員を公表するよう求める緊急動議を出すべきだ」と訴えていた。村井氏は結局、こうした意見に応えることはなかった。

 「国民政党なら、事実を公表し、年金への不信や不安を解消する努力をすべきなのに」と同県議は指摘する。

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 くらしの先行きが見えず、不安が広がる中で参院選が始まる。国政に届き切らない有権者らの思いを描く。

 (06/20)


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