2004参院選
 
頼れる先は <04参院選 不安の風景>

 塩尻市の奥原実さん(32)はこの春、ホームヘルパー2級の資格を取得した。慕っていた祖母を昨年11月、亡くしたのがきっかけだった。市内の老人保健施設で来月から働き始める。

 車が好きで高校卒業後、自動車販売会社に就職。整備士を希望したが、配属先は営業職で、1年半で退職した。建設会社などを転々とし、昨年末から失業状態に。市内にアパートを借りて、平日は職業訓練校に通う。

 松本駅前に5月末、県や国のハローワークなどが連携して若者の仕事探しを支援する「ジョブカフェ信州」ができ、オープニング行事に参加。ゲストの田中康夫知事のいる前で、高校卒業後から資格を取るまでの10年余の経験を語った。

 各政党が若年層の雇用対策を訴えるが、奥原さんは「ただハローワークを増やしても意味がない。パソコンで求人情報を検索して面接を受けても、働いてみると合わないことが多かった」と話す。「政治家は今しか見ていない。結局自分で探すしかない」

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 千曲市に住む市川千寿さん(37)は、3人の子供の母親。25歳のとき、薬剤師として勤務した製薬会社を結婚退職した。

 仕事への復帰を考えたが、1歳9カ月の次女の預け先が問題になった。託児所を検討したが、給料の多くがその代金に消えるので断念した。

 市役所には、地域で育児の援助を求めたい人と、手伝いをしたい人をつなぐ「ファミリー・サポート・センター」が、国や県の補助で設置されている。しかし、「見ず知らずの人に預けるのは不安で、気が進まない」として利用を見送った。

 結局、週に1度だけ、次女の面倒を夫がみる曜日を設け、地元の薬局で働くことにしたという。

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 同市内の40代の男性は最近、長野市内のハローワークに足を運んだ。かつて経営者として求人のため訪れた場所に、自らの職探しで訪れるのは初めてだった。

 電子関係の企業から94年に独立。雑貨部門に事業展開し、98年の長野五輪のグッズの企画・製造で経営を軌道に乗せた。しかし、五輪後の不景気で業績が低迷。00年には運転資金が底をついた。3人いた社員は去り、借金が残った。

 ハローワークの検索画面で、電源回路の設計者募集が目にとまった。面談は順調に進んでいるという。「ただ、本当は企業家としてやり直したい」との思いも残る。

 「零細企業は不景気に巻き込まれてしくじると再起できない。景気が回復してきたと、選挙を前に言われても白けてしまう。日本の経済を支えているのが町工場だとしっかり認識し、そこに手を打ってくれる政党や候補者がいればいいのだけれど……」。参院選では、目と耳を凝らして見極めるつもりだ。

 (06/21)


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