2004参院選
 
揺れる「三師会」 <組織力 04年参院選:上>

●迷いつつも政権政党

  診療報酬改定をめぐる汚職事件で前会長らが逮捕された日本歯科医師会(日歯)。東京都千代田区の日歯本部で5月24日、守山市内で歯科医院を開業する津曲雅美さん(55)は「公益法人であることを忘れ、金にものを言わせ政官業の癒着を招いた」と執行部を批判する文書を提出した。

  津曲さんは福岡、宮崎などの歯科医らとともに、日歯の政治団体・日本歯科医師連盟(日歯連)からの退会を求めて裁判を起こし、昨年10月、大津地裁で日歯、日歯連双方の賠償責任を認める判決を勝ち取っている。

  その日歯連は会員から会費約18億円を集め、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に例年4億円以上を献金する有力支持組織だ。下部組織の県歯科医師連盟も国政選挙などで自民系候補らに「陣中見舞い」を出してきた。

  津曲さんらが声を上げるまで、日歯の会員は原則、連盟への加入を求められ、連盟だけを退会できない「同時入退会」の仕組みが取られてきた。無党派の津曲さんは「思想・信条の自由」を求めて提訴し、判決はこの原則を違法と判断した。津曲さんは、政治活動を禁じられた公益法人が政治団体をつくり特定の政党・政治家を支援することも問題と考える。「政党の考えにひきずられ公益に反する」からだという。

  汚職事件に揺れた日歯連は11日、今回の参院比例区で選挙運動をしないことを決め、組織内候補として自民公認で立候補予定だった笹井啓史氏の擁立を断念した。県歯連は現在、会費の徴収と日歯連への送金を見合わせている。

  医師会、歯科医師会、薬剤師会の「三師会」は、建設や農業、特定郵便局などとともに自民党を支え、特に資金面で頼りにされてきた。だが、医療費抑制を進める小泉改革への反発もあり、組織の締め付けは弱まっている。さらに厚生労働省が3年前に続いてこの春、各地の医療系団体に対し「公益法人と政治団体との峻別(しゅんべつ)」を指導したことも追い打ちをかける。各団体の役員らは「組織として選挙がやりにくくなった」と声をそろえる。

  県医師会は02年、政治団体・県医師連盟の会費徴収の方法を見直し、加入の意思を持つ人だけが振り込む形にしたところ、退会が相次ぎ、連盟の会員は約4割に減った。医師らからは「往診カバンに百票詰まっていると言われたのは過去のこと」「医療の現場に政治活動は持ち込みたくない」との声もある。だが、地域役員の一人は「政権政党内で発言力を確保しなければ自分たちの主張を制度改革に反映できない」と会員らの再結集を説く。

  日本医師会(日医)は参院比例区で日医出身の西島英利氏(自民公認)の上位当選を目指すが、前回(01年)の組織内候補の得票は約23万。かつて100万票以上とされた集票力の弱体化は著しい。

  一方、自民党県連幹部は「高齢化などを背景に党を支えた各組織は弱体化している」と見る。対策として、県内4小選挙区ごとの党支部組織を前面に、500人以上の自民系県議、市町村議らが中心になって組織選挙を展開する。「各議員が自分の選挙のように戦えば負けることはない」と幹部は強調する。

   ◇    ◇

  24日公示の参院選に向け、滋賀選挙区(改選数1)では自民、民主、共産のいずれも新顔が立候補の準備を進めている。全県1区の選挙区では、比例とともに組織の力が問われる。時代の変化に揺れる各政党の支持組織の姿を追う。

 (06/19)


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