2004参院選
 
身近な政治、探る学生(問う04参院選)

 政治をもっと身近に語ろう。7月の参院選に向け、そんな動きが大学生の間にじわりと広がっている。立候補予定者の事務所で、教室で、イベント会場で、ざっくばらんに語り合う集まりが福岡の各地で相次ぐ。若者の政治離れが言われ続けるなか、「ニュースの中の遠い存在」だった政治に、若者の側から近づこうと探っている。

 福岡選挙区に立候補を予定している古川忠氏(無所属)の事務所。8人の若者が古川氏を囲み、次々と質問をぶつけた。

 「自衛隊の多国籍軍参加をどう思いますか」

 「訴えた政策はしがらみがあっても実行できますか」

 企画したのは九州大4年の大崎京介さん(22)ら。政治とは無縁だったが、バイト先で立候補予定者のビラを見て、「ライブ感覚で」と思いついた。政治家と直接語る機会があれば、政治を身近に感じられるのでは、という狙いだ。

 「構ってくれないのでは」と心配していたが、政党支部などを回って依頼すると「若者と話せるのは大歓迎」と身を乗り出してきた。

 13日の古川氏に続き、16日には大久保勉氏(民主)と語り合った。「面白そう」「一度政治家に会ってみたい」と口コミで参加者が増え、アジアの留学生も加わった。19日夕には津野豊臣氏(共産)から話を聞く。

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 北九州市立大学法学部の竹中佳彦講師のゼミでは、選挙制度について学んでいる。11日には学生5人が参院選について議論した。

 竹中さんが「投票に行きますか」と問うと、全員が「もちろん」。投票の基準を聞くと、口々に「年金」と答えた。

 4年の村上直子さん(21)は年金改革法の成立後に政府が「出生率1.29」を発表したことに憤る。「前提が崩れた。政治家が信頼を損なうのは当然」。4年の伊藤広志さん(21)は与党の強行採決について「数の論理で決めるのに嫌気がさした」と話した。

 ただ、自民党と民主党の年金改革案の違いについて、答えることができたのは1人だけだった。「政策の中身より、強行採決や未納など『ひどいことをやっている』という印象で選んでいるようだ」と竹中さん。学生たちに「君たちは、まだ投票権を持っていない次の世代を代表して投票してほしい」と訴えた。

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 31.36%。「この数字、何だと思いますか」。九州大3年庄島香織さん(20)が約30人の学生に問いかけた。

 庄島さんは学生の議員事務所での実習を仲介するNPO「ドットジェイピー」のスタッフ。12日に学生と地方議員らとの交流会を福岡市で開いた。この数字は、01年参院選での20〜24歳の投票率だった。全世代で最も低い。

 庄島さんにとっても、政治は「テレビの中の出来事」だった。友だちと選挙の話をすることもなかった。昨年の総選挙では投票したものの、候補者ポスターの笑顔は誰もが同じに見えた。

 「政治家って、何をしているのだろう」。素朴な疑問を抱き、この春、福岡県議のもとで実習をした。朝6時に起き、街頭で訴え、議会に出て、支持者に会い、合間に資料を読んで深夜まで政策の勉強をしていた。少し見直した。「駄目な政治家もいるだろう。でも、誰でも一緒とは思わなくなった」

 庄島さんは今、NPOの活動を通じて、同世代に「政治家を近くで見てみない?」と呼びかけている。参院選を控え、街頭演説にも足が止まるようになった。

 「今の学生は、ちゃんと見ているぞ」。若者の投票率を上げ、そんなメッセージを政治家に送りたいと考えている。  (06/19)


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