2004参院選
 
描けぬ地域像 <04参院選 不安の風景>

 新潟県境の下水内郡栄村・五宝木集落。山田政治さん(83)夫妻は40年近く、冬の間は自宅を離れ、役場近くの村営住宅で過ごしてきた。

 県内有数の豪雪地帯。毎年12月から3月にかけて、診療所などがある中心部に向かう山中の道路は通行不能になる。集落はこの間閉鎖され、山田さん夫妻を含む全7世帯ごと移住する。

 山田さんは終戦後、農地を求めて近くの村から入植。3年かけて田畑を切り開き、農作物や山菜を売りながら4人の子供を育てた。村営住宅は買い物などには便利だが、「苦労して切り開いた土地を離れたくない」という。

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 村は集落の冬季閉鎖などを解消するため、冬の間も通行可能な村内縦貫道路の建設を目指し、93年に林野庁の「ふるさとづくり事業」として構想が具体化した。

 五宝木集落と同村最南の秋山郷を結ぶ「五宝木トンネル」は00年に完成。続いて五宝木と、中心部への玄関口である極野(にての)を結ぶ「極野トンネル」が建設されるはずだった。

 しかし、建設費の9割を負担する県の財政が悪化。国から地方への税源移譲と補助金の削減、地方交付税の見直しを一体で進める「三位一体改革」の行方が不透明な中、林道事業としての建設は昨年秋、中止された。

 「7世帯だけのために、金をかけれんのだろうなあ」。山田さんは、建設予定地を見つめながら嘆いた。

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 「うちの省が進める事業の補助金削減には、反対してください。おたくの町にはマイナスになりますよ」

 北信地区のある町長のもとに最近、農水省や国土交通省などの役人がそれぞれやって来て、こう頼んだという。

 「この町で計画されている農道は事業として採択されますから」と念を押す役人もいた。

 三位一体改革で政府は、地方への3兆円の税源移譲を目指し、一方でこれに見合う補助金削減の具体案を示すよう、自治体側に求めている。自民党はこうした点を参院選の公約に盛り込んだ。

 全国知事会や市長会、町村会などが全国レベルで議論している最中で、まだ現場の自治体には具体的な話は降りてきていない。

 そもそも、「税源を移しても、人口が少ない自治体は補助金や地方交付税を減らされるだけで、それに見合う財源確保にはならない」(唐沢彦三・県町村会長)として、多くの町村では補助金削減、税源移譲に消極論が根強い。

 この北信地区の町長は言う。「省庁は所管する公共事業の補助金が削られまいと、縄張り争いに懸命だ。地方の自治体は、政党や省庁間のゲームに巻き込まれているだけではないか」

 (06/23)


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