2004参院選
 
廃止・縮小? 中山間地域等直接支払い制度 <2004参院選>

 国の「中山間地域等直接支払制度」が00年度に5年計画で始まり、最終年度を迎えた。農業の担い手不足が深刻な中山間地域の耕作放棄防止などが目的の補助金制度で、県内の対象農地1万4490ヘクタールのうち、実に97.3%が制度を利用している。しかし、財務省は来年度以降の制度の廃止・縮小を検討中だ。参院選では多くの政党が農家への直接支払制度の導入をマニフェスト(政権公約)に盛り込み、街頭演説でアピールする声も聞かれる。

 出雲市稗原町の山寄(やまよせ)地区。今年6月、初めて「夏ソバ」の白い花が咲いた。直接支払制度の活用法について集落で知恵を出した成果だった。ソバは水はけの良い土地での栽培に適し、他の作物に比べて手間もかからない。昨年には秋ソバを初収穫しており、うまくいけばソバの二期作が可能になる。

 昔から良質米産地で知られる山寄地区は高齢化率が30%に迫り、耕作放棄地は増えつつあった。中山間地域等直接支払制度が始まった00年春、補助金交付条件の「集落協定」をつくるため、農家40戸が集まった。

 同制度の対象は、中山間地域や離島などで1ヘクタール以上の農地を持つ認定農業者か集落で、農地の傾斜や形などによって補助額が決まる。協定で取り組み内容や生産目標を決めるが、補助金の半分は耕作放棄防止や農道管理などに使わなければならない。県内ではこれまで1600以上(集落1605、個別51)の協定が結ばれ、昨年度は約20億8千万円が交付された。

 山寄地区は市中心部から車で15分の立地条件を生かし、市民との交流事業にも力を入れる。休耕田を貸し出す「市民農園」は人気を呼び、当初の33区画から82区画まで拡大した。01年12月には補助金などを元手に交流施設を建設。小中学生の農業体験で使われるほか、星の観測地としてもにぎわっている。

 山寄地区代表の高野義徳さん(64)は「いつも新しいアイデアを考えるようになった。ほ場整備などを進めるこれまでの補助金とは違う。集落での共同活動を活発にすることで農村を守る補助金だ。農家に経済的なメリットが入るのはこれから。ようやく将来への夢がひらけてきたのに、ここで止めれば、すべてがストップする」と訴える。

 島根は県域の約8割が中山間地域に属する。耕作放棄地は85年の約1700ヘクタールから00年には倍増し、耕地面積に占める放棄地の割合は3.6%から8.4%に広がった。直接支払制度について、県の調査では96%の集落が耕作放棄防止に効果を認め、生産性向上や鳥獣被害対策に役立っていると答えている。

 だが、問題点もある。県内の集落協定では、補助金の44%が農家個人に分配され、1農家当たり年間3、4万円を受け取った計算になる。平地との生産コストの差額補填(ほてん)を制度上の目的としているためだが、使い道や成果があいまいで「ばらまき」との批判もある。山寄地区の会計担当、森山俊雄さん(58)は「個人交付ではお金が何に使われたか分からない」と話す。

 県中山間地域研究センターの笠松浩樹・主任研究員は「(補助金の使い方は)集落の自発的な取り組みに任されている分、元気が出たところもあれば、単にばらまきで終わったところもある。制度改正し、いい使い方をした集落には二重三重の支援があっていい」と言う。

 (06/30)


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