2004参院選
 
個人の生きざま <政治の季節のあとに(5)>

 和光市のフリーライター和田秀実さん(50)は、今回の参院選は棄権しようと思っている。

 今春、相次いで発覚した政治家の年金未納。ある閣僚が「うっかりしていた」と話すのを見て、腹が立った。

 「フリーの立場で月1万3300円の保険料を払うことがどんなに大変か」

 民主党も菅直人前代表をはじめ、年金ではドタバタがあった。自民党と同じレベルで、とても期待できない。

 これまで投票だけは欠かさなかったが、「今回は、低投票率が怒りの意思表示になる」と考えている。

     ■  □

 69年。川越高校の1年生で「生徒憲章」の検討委員になった。憲章の実施で服装が自由になると、制服の方が本当は楽なのに、無理をしてシャツの上にセーターなどを着て、学校に通った。

 「ベ平連」(ベトナムに平和を!市民連合)に参加。ほかの高校のグループと交流したり、東京の米軍横田基地などに出かけたりした。

 70年6月、「川高(かわたか)ベ平連」ののぼりを立て、高校から川越駅まで反安保のデモをした。

 「世の中は自分たちの手で変えられる」と疑わなかった。

 大学に進学した後も学生運動に飛び込んだ。既に運動は下火になっていたが、政治や理想を語り合える友人がいた。

 しかし、学費値上げ反対運動が敗れ、和田さんは急速に「敗北感」に襲われた。

 「社会は何も変わらない。あとは『個人の生きざま』の問題だ」と思い定めた。

 出版社に就職。ずっと野党に投票してきたが、「だれを当選させたい」という思いもなく、漠然と「体制への批判票」を入れていただけだった。

 その後、独立し、パソコン関連の本を書くフリーライターになった。

 不況の波も、まともにかぶった。パソコンの出荷台数が減るのと比例するように仕事が減り、貯金を取り崩す月もあった。バブル末期に建てた家のローンの負担も重い。

 01年、小泉首相が登場した。

 「自分たちの生活が苦しくなったのに、特殊法人や利権にむらがる官僚たちがいい思いをしている」。構造改革に期待した。この年の参院選比例区で、生まれて初めて自民党に投票した。

 しかし、靖国神社に参拝する小泉首相を見て、「結局、遺族会の票が欲しいのか」との思いがよぎった。構造改革も期待したようには進まず、裏切られた気がした。

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 今は国政より、「地域」の問題に関心がある。埼玉でも首長や議員が若い世代に入れ替わりつつある。最近、地方選挙に行くのが少し楽しい。

 昨年4月、和光市では朝霞、志木、新座の3市との合併をめぐる住民投票で反対が賛成を上回り、合併が白紙に戻った。合併を「上からの押しつけ」と感じていたので、「世の中捨てたもんじゃない」と思った。

 自治会の活動にも、初めて参加してみた。地域のもちつき大会、防犯の夜回りをしている。

 自分が参加すべき本当の政治は、地域の中にこそあるのかもしれない。

 (07/03)


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