2004参院選
 
大規模農業<問われるもの04参院選・筑後から>

 植えられたばかりの苗が風に揺れる。広々とした水田が続く筑後平野で6月下旬、脱サラ青年(23)が田植えを熱心に見つめていた。

 知人の紹介で、6月上旬から久留米市内の農家で学ぶ。福岡市の会社に勤めていたが、経営不振に陥ったのを機に思い切って辞めた。

 「ごみごみした都会で働くより、広い土地で米や野菜を作りたい」

 はっきりした展望があるわけではない。それでも、夢をかなえたいと奮い立たせる魅力がここにはあるという。

 久留米の経済を引っ張ってきたゴム産業はアサヒコーポレーションが会社更生法に基づき経営再建するなど、往年の勢いはない。市は農業を「基幹産業」と期待する。農業粗生産額(約130億円)は県内の市町村でトップ。05年2月に周辺4町を編入合併して新市になると、粗生産額は全国5位の規模に膨らむ見通しだ。

 1日には、農政の指針となる「市食料・農業・農村基本条例」が施行された。九州では初で、地産地消など「市民が支える農業・農村」という考え方を盛り込んだ。

 市はいま、産学官が連携してバイオテクノロジーなどの新技術開発に取り組む。栄養価の高いトマトやカボチャの増産、加工食品化を探る研究にも着手している。

 担い手確保のため、脱サラ青年のような就農希望者も手厚く支えようとしている。県やJAなどと連携して土地を手当てしたり、技術を指導したりする仕組みも整えた。「新しく入ってくる人は歓迎です」という。

 市は「コストを落として価格を下げ、安い外国産に対抗する」(幹部)として、規模拡大も促している。休耕地を抱えた農家には、一定規模を持つ認定農業者に貸すよう勧めている。2ヘクタール以上の耕地で耕作する農家の割合は、00年度に1割を超えた。

 ただ、「大規模経営」の効果は、あまり発揮できていないのが実情だ。

 市農協青年部長の浜崎康生さん(43)は、自前の水田1.6ヘクタールのほか、1.1ヘクタールを借りている。だが、「飛び地」のため農耕機の移動などに手間がかかり、効率は上がらない。米国型の大規模経営に習うのは難しいと感じているという。

 久留米型の「大規模経営」でも効果を発揮できる道はあるのか。浜崎さんは、政府は規模を拡大する農家に対し、もっと初期投資にかかる費用を補助してほしいと考えている。

 「農家が小売業者に直接販売しやすくする制度など、流通コストを下げる対策も考え、農家にやる気を出させてほしい」

 (07/03)


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