2004参院選
 
産廃不法投棄 <明日へ 有権者の足元>

 小山市東黒田の田園地帯の一角に巨大な山がそびえ立つ。

 高さ約10メートル、幅、長さ数十メートル。近くの工場の屋根や電柱よりも高いその山には、木材やプラスチック片などの建築廃材とその灰がぎっしりと積まれている。県内最大、約6万5千トンのごみが残ると言われる現場だ。

 この「山」もかつては田畑だった。約20年前、土地の所有者である付近の建設解体業者が捨て始めたという。ごみは埼玉県越谷市の排出業者などから有料で引き受け、焼却していた。99年には大規模な火災となり、業者は廃棄物処理法違反で逮捕された。業者は01年1月、懲役1年6カ月執行猶予5年、罰金300万円の有罪判決を受けた。

 「今でも灰が飛んできてのどが痛くなる」「ごみに囲まれた生活で、人生をまるっきり変えられた」

 事件から5年。周辺住民たちはいまだ時折飛んでくる灰や悪臭などに悩まされている。

 ●県の代執行1件

 環境省が4月に発表した産廃不法投棄の全国調査の結果によると、県内に投棄されたままの産廃は72件、約30万トンにのぼり、全国9位の多さだ。黒磯市、小山市など県境に多い。県環境整備課は「幹線道路に近く、捨ててすぐに逃げられることが理由の一つではないか」という。

 放置されたごみは、行政が撤去を代執行する制度がある。しかし、硫酸ピッチなど有害なごみに限られる。県による代執行は、99年1月、都賀町の小学校わきに捨てられた約8700立方メートルの産廃を9600万円かけて撤去した1度しかない。

 環境省適正処理・不法投棄対策室によると、03年4月の時点で環境に支障があるなどとされた不法投棄は全国で約2500件。代執行の見込みがあるのは18件だが、費用は900億円以上かかる。同室は「法律上、当事者が片づけるのが原則。(代執行は)極力少ない方が望ましい」という。

 ●業者は倒産状態

 馬頭町北沢地区内の山あいの沢で、大量の建築廃材などが見つかったのは90年8月。約3万1千立方メートルに上るごみは、埼玉県の土木業者が排出したことがわかった。あれから14年。町は、県の産廃最終処理場を受け入れるという「苦渋の決断」をした。

 この管理型処分場は、県外のごみも扱い、そこから出た利益を不法投棄されたごみを片づける費用に充てる。同町環境整備対策室の小川一好室長補佐は「あれだけの廃棄物を処理するには数十億円はかかる。町が単独で処理するのは無理だ」という。廃棄した当事者は倒産状態。「彼らに期待することはあまりに実行性が薄い」と決断の理由を話す。

 しかし、地元住民の反対は根強い。同町の農業酒主政雄さん(73)は「ごみの町というイメージが広がれば米も野菜も売れなくなる」と農作物への風評被害を恐れる。

 環境省の4月の調査で、全国で唯一、不法投棄の件数や残存量がゼロだったのが富山県だった。少量の不法投棄でも県が市町村に補助を出し、大量にたまる前に処分している。昨年は5件の不法投棄のごみを150万円かけて撤去した。00年からは監視連絡員を配置した。

 「監視カメラなどがもてはやされているが、地域住民の目に勝るものはない」と富山県環境政策課の担当者は言う。

 本県は市町村に助成金を出し、約90人の不法投棄監視員を置いている。不法投棄の多い夜間や休日は警備会社に委託し、過去に不法投棄があった場所など年間延べ約650回パトロールする。ごみを運ぶ車両の位置などを把握するため、03年度から全地球測位システム(GPS)も導入した。効果がわかるのはこれからだ。

 (07/04)


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