2004参院選
 
三位一体改革に伴う財政難<2004参院選>

 国の「三位一体改革」で地方自治体は危機的な財政難に追い込まれている。補助金削減と交付税見直しの代わりに税源を移すというが、もともと税収が乏しい自治体に明るい展望は開けない。県内でも生活に直結する事業まで大きく見直されようとしており、県民への痛みは避けられそうにない。今回の参院選では、小泉政権に対する評価も問われようとしている。

 松江市に住む主婦(25)は02年3月、建設会社に勤める夫(25)との間に長男を産んだ。冬になって鼻水を垂らす長男を見て、急いで小児科に連れて行った。同じ病院なら何度受診しても月に1000円。初めて子どもを育てる不安から、症状が悪くなる前に病院に行こうと心がけた。医師から「何でもない」と笑われたこともあったが、風邪にプール熱や腸感冒が重なり、高熱が2週間続いたこともあった。週1回は足を運んだ。「何度受診しても1000円なのは安心。ママ友(主婦友達)もそうだと思う」

 県は市町村と共同で73年、0歳児の本人負担を無料とする乳幼児医療助成事業を始めた。今では、3歳未満の子どもの医療費は月1000円、3歳から就学前までの入院の場合は総医療費の1割負担(上限1万5000円)で済む制度に広げた。県は、今年度も3億2800万円の予算をつけたが、来年度以降は負担の増額、収入に応じた負担などを検討中だ。

 県健康推進課の中川昭生課長は「三位一体改革が必要とはいえ、未来を担う子どもは大事にしたい。親が子育てに意欲をなくしてはいけない。制度維持のために県民に納得してもらえる公費負担のあり方を考えたい」と話す。

 県保険医協会は6月初め、制度の維持・拡充を県に求めた。古沢正治会長は「医療や福祉を経済や効率から考えるのは間違い。子どもは早いうちに悪いところを見つけることが大事だ」と訴える。サラリーマンの医療費負担が3割に増えた03年4月以降、受診回数が減った。同協会が会員の開業医に聞いた調査で、回答者の6割近くがそう答えた。

 乳幼児医療でも同じ結果を招き、症状を悪化させて受診するケースが増えるのではないかと心配する。子どもは3人欲しいが、20万円前後の収入では2人がやっと、と考える松江市の主婦は「(助成制度が見直されれば)少々のことでは病院に行けなくなる」と話す。「年金問題も大事だけど、子どもが生まれなければ年金も根本的に解決しないのに……。今の自分にプラスになる政治家が見あたらない」

 「住民の足」として地域を結ぶ生活バス助成も県の見直し対象だ。

 安来市・能義郡では、民営バスが全面撤退した00年4月以降、3市町の広域行政組合が生活バスを走らせている。通学、通院に使う住民が多く、1乗車一律200円だ。広瀬町の南端から安来の市街地まで民営では片道千円程度かかった。バス事業の今年度予算は2億2500万円。運賃と県補助が各約6000万円で、残りを3市町が負担する。県は来年度から補助金算定に「収支率」を入れる予定で、経費が運賃を大きく上回る赤字路線には補助金を出さない方針だ。

 「民間にできることは民間に、地方にできることは地方に」と小泉首相は言う。その地方では、「高齢化が進む山間地では住民の足を行政が確保しなければならない。民間にできないこともあり、(地方の)自助努力も限界がある」と現場担当者の声が聞こえる。

 (07/03)


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