2004参院選
 
(6)憲法と平和 改憲の動き問う選挙に <争点の現場から>

 この夏、県が食料備蓄量や各市町村の道路の幅や長さなどを調べる予定がある。

 6月14日に国民保護法など有事法制関連法が成立した。保護の役割は、住民に避難経路を示し、宿舎や食料、医療などを提供するのが知事、住民の避難誘導は市町村といった具合に分担する。政府は国民保護の「基本指針」を策定し、県や市町村は指針に基づいた「国民保護計画」を作ることになる。

 食料備蓄などの調査は「有事」に備える基礎情報の収集だ。このほか県は近隣の自治体や自衛隊と計画づくりに向けた話し合いも持つ。

 90年のイラクによるクウェート侵攻を機に「国際貢献」議論が起き、92年に国連平和維持活動(PKO)協力法が成立。「日本周辺有事」を想定した法整備、01年の米・同時多発テロを受け、米軍の軍事行動を自衛隊が後方支援する枠組みを定めたテロ対策特別措置法などができた。

 自衛隊が戦力、軍隊にあたるかどうかという議論を通り越して現実は進み、身近なところでも具体的な動きが始まろうとしている。

 5月3日。護憲派が千葉市内で開いた憲法集会で、千葉大公共哲学センター長の小林正弥教授は「平和運動にも憲法解釈の戦略的な転換が必要だ」と訴えた。「『自衛隊の存在自体は認めるが、攻撃への加担は認めない』という立場で訴えないと、改憲の国民投票があった時に勝てない」と語る。

 国民投票について、小林教授は「今回の参院選で選出された議員が、改憲の発議をする可能性が高い」と感じている。

 実際、今秋以降、自民、民主、公明各党は憲法改正について考えをまとめる予定で、方向性も出始めている。

 自民党は今月発行した小冊子の中で「集団的自衛権の行使も可能となるようにする必要がある」としている。民主党は6月、9条の改正を視野に、国連中心主義と専守防衛の立場を鮮明にした改正案の中間報告をまとめた。公明党は現行憲法を変えずに環境権やプライバシー権などを加える「加憲」の立場を前面に出す。

 6月26日。松戸市小金原の主婦山口郷子さん(69)は、市内で開かれた憲法の勉強会に参加した。テーマは「憲法9条をどう考えるか」だった。

 参加者は35人だったが、準備した会場は満席だった。会合は3時間続き、参加者は憲法への考え方などを語り合った。

 山口さんは中国東北部で育ち、10歳の時にハルビンで終戦を迎えた。ソ連兵の略奪や中国の内戦も目の当たりにした。「日本は9条を守ってきたからこそ平和が続いてきたと思う。現状はどんどん悪くなっている」という。

 イラクでの自衛隊の多国籍軍への参加でまた一つ歯車が回ろうとしているこの夏。山口さんは「改憲問題は参院選で一番大事な争点」と、思っている。

   =おわり

    ◆

【安全保障と憲法を巡る動き】

92年 国連平和維持活動(PKO)協力法成立

97年 日米新ガイドライン決定

99年 周辺事態法成立

00年 衆参両院に憲法調査会発足

01年 米国同時多発テロ、テロ対策特別措置法成立

03年 武力攻撃事態法など有事3法とイラク復興支援特措法成立

04年 国民保護法など成立

04年秋 公明党が改憲の見解を公表予定

05年秋 自民党が新憲法草案を策定予定

06年末 民主党が改憲案を発表予定

 (07/04)


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