2004参院選
 
年金 <明日へ 有権者の足元>

 小山市のパート女性(54)は、職場で流れるラジオから年金の話題が聞こえる度に耳を傾ける。

 「昔は保険料を払っておけば、年金がもらえるかなんて心配もしなかったのに」

 21年前に夫と離婚し、1人で2人の息子を育てた。2年前、勤めていた機械メーカーをリストラされた。今は時給680円のパートで得た約10万円の月収で暮らす。低所得のため、月約1万3300円の国民年金保険料の支払いは免除されているが、家賃4万円に年間約7万円の国民健康保険料、年間約1万円の介護保険料を払う。

 「稼げる人も稼げない人も年金の保険料が同じなんておかしい」。老後の支えは、会社員時代の厚生年金と国民年金。栃木社会保険事務局によると、女性のケースを想定すると、国民年金の支給額は年額約75万円だという。女性は「年金の支給額が下がってしまうかもしれないと考えると、不安になる」と言った。

 ●未納は4割に

 同局年金課によると、県内で02年度の国民年金保険料の収納率は61.1%。4年間で15ポイント下がった。

 「信頼のない国や政党に本質的な年金改革は望めない」。宇都宮市問屋町で靴卸売会社を営む釜井章雄さん(43)は、年金問題にうんざり気味だ。

 厚生年金保険料は会社と従業員の折半。「保険料負担は重い」「社員を個人事業者にさせて、国民年金に切り替えさせた事業所がある」――。ここ2カ月、中小業者の集まりでは景気よりも年金の話題が出る。釜井さんは社員24人の厚生年金を守る方針だが、「毎月数十万円の会社負担が気になる時もある」と話す。

 先の「年金国会」のさなか、国会議員の未納問題よりあきれたのは、年金資金を使った大規模保養基地(グリーンピア)事業の失敗とその穴埋めに年金積立金を充てたことだ。「無駄遣いや不公平が許される仕組みを国も政党も変えていない。そんな年金に頼れるか」。釜井さんは老後を考え、年金以外の金融商品を準備している。

 ●揺らいだ根幹

 栃木市内で青果店を営む男性(55)は妻と子ども3人と暮らす。5年ほど前から、20年近く払ってきた国民年金保険料の支払いをやめた。

 「支える人と支えられる人のバランスがとれないと知り、将来年金をもらえるかわからないと思った。だったらやめちゃえって」

 代わりに民間の生命保険に入った。満期には一定額も戻る。「先行きいくらもらえるか不透明な年金より断然いい。自分で支払いを決め、身を守る方が納得行くよ」

 年金改革法成立後、03年の出生率が予想を下回る1.29とわかり改革法の根幹が揺らいだ。少子高齢化社会で若者の負担は右肩上がりになる。

 宇都宮大4年の田中さよりさん(21)は、親が保険料を払ってくれている。卒業後は自分で払うつもりだ。「自分たちは払った分ほど給付されないだろうし、正直年金に現実感もない。ただ、老後を支え合う制度は必要だから気になる」

 宇都宮市中心部のスーパーを訪れた同市内の女性(75)は、老齢基礎年金と夫の遺族年金で毎月24万円が入る。「年金のありがたさは、高齢になって初めてわかった」という。「私の世代は受給額が高い。だから今の年金論議に何も言う権利はない」。それでも、選挙では若者の負担も考えてどの候補者がいいのか判断するつもりだ。

 1票に託す老後。5人とも投票に行くと言った。

 (07/08)


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