2004参院選
 
合併 <明日へ 有権者の足元>

 藤原町役場から国道121号を北へ車で約40分。ひなびた集落が道沿いに広がる三依地区は49年前、かつて炭焼きで栄えた三依村が町に合併された。当時約2150人いた住民は今644人。高齢者が多い。

 ●「不安」抱く住民

 同地区はいま、日光地区5市町村がつくる新市に組み込まれようとしている。起債の優遇など合併特例法の適用期限(05年3月)を考慮して、06年3月の合併が進む。

 「不安は大きい」。同地区の中三依自治会長、荒井正夫さん(71)は言う。役場の支所が消えないか心配だからだ。同地区への正式な合併説明はこれまでない。

 町は足利銀行破綻(はたん)が響く鬼怒川温泉や、廃止される珪肺(けいはい)労災病院の事後対応など財政上の難題を抱える。同地区の診療所は1年前から医者が不在のままだ。三依小(児童30人)や三依中(生徒12人)の児童数も年々減少している。

 「財政面では合併は不可避。時間も余りない」。町は、26日から初の住民説明会を開く。でも、三依に実感はない。「本当に合併するの」と主婦(50)が漏らした。

 ●「やむを得ず…」

 県内では05年1月の那須塩原市(黒磯市、西那須野町、塩原町)を皮切りに、新「佐野」や「さくら」などの新市が続々と誕生する予定だ。一方で地元の理解不足や苦い思いを抱える自治体は少なくない。大平・岩舟・藤岡町の合併協議は、「みかも」と市名まで決まった後、破談した。

 「昭和の大合併」で生き残った人口約5600人の湯津上村は05年10月、大田原市に編入合併する。「やむを得なかった」と町幹部はいまもくやしさをにじませる。

 02年度の村の地方税は約6億円。これでは100人近い職員の人件費約7億5000万円も賄えない。ここに交付税の減額という「ムチ」が来たら、村は骨を砕かれる。

 2年前まで単独存続の望みはあった。日本中央競馬会の競馬学校の移転計画が進み、村は波及効果を5億円とはじいた。売れ残る県の工業団地を商業・住宅地などにして3億円の収入を見込めば、交付税とほぼ同額になるはずだった。

 だが、競馬学校移転は白紙に。「風船がしぼんだ」(村幹部)結果、合併の道だけが残った。

 村は新庁舎を建設中だ。合併後は支所になるが、職員は13人という試案もある。合併特例債事業では村が想定した5分の1、20億円程度にとどまる恐れもある。「のまれるとはこういうことか」と町幹部はつぶやく。

 ●リストラに活路

 芳賀郡1市4町の合併に加わっていた茂木町は6月末、法定協に離脱を正式に申し入れた。同月19日夜、町民センターで開かれた住民説明会には約800人の町民が集まった。

 「法定協では『新市で検討』か『合併までに協議』ばかり。合併がすっかり『目的』になっている。立ち止まり考え直すべきだ」。古口達也町長は、そう説明した。

 新庁舎の位置や都市計画などで意見が割れる度、真岡市の委員からは特例法期限を意識し、早期の結論を求めてくる。対等合併とはいえ、人口や経済の規模は同市が圧倒的。町は「実態は吸収か」と警戒を募らせた。

 「急ぎすぎる」。町民からの声もあって町は、合併しない場合の財政を再試算した。「建設事業費3割削減」「10年で職員2割削減」。努力すれば「単独で行ける」と結論づけた。

 服部公一町企画課長は言う。「3年でできた道路が5年かかるかもしれない。でも、町民は『焦った合併』など望んでいなかった。『茂木らしさ』を考える上で、この選択は間違っていない」

 (07/09)


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