2004参院選
 
自民、読めぬ得失点 比例区候補の登板と降板 

 自民党の参院選比例区候補の座をめぐり、竹中経済財政・金融相(53)が小泉首相に説得されて16日に立候補を表明した。一方、政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)が組織候補として推してきた日大助教授の笹井啓史氏(43)は、日歯連をめぐる汚職事件のあおりで出馬を断念した。有力支持団体の組織選挙から「改革」のイメージに頼る選挙に重点を移す自民党の移り変わりがにじむ出来事と言えるが、その損得勘定は――。

 ●竹中氏、地方から反発も

 「小泉構造改革を一番よくわかっているのはあなたなのだから、国民によく訴えてほしい」。17日、自民党本部。竹中氏は、党総裁の小泉首相から党公認証をもらう際にこう言われた。

 首相らが竹中氏に期待するのは、苦手とされる都市部の無党派層の取り込みだ。昨秋の総選挙での「小泉・安倍(晋三幹事長)」の二枚看板はあるものの、年金問題で世論調査の支持率も下降気味。改革イメージの新たな看板として「地方にいかず、東京、横浜、大阪あたりをうろうろしてくれるだけでいい」(幹部)という声もある。

 首相周辺は竹中氏に関する好感度調査を極秘に実施。「好感度が高い」という結果を受け、擁立に踏み切った。かつて竹中氏の改革路線を批判して更迭を求めた堀内光雄総務会長も「自民党の支持層を広げ、100万票は取るだろう」。

 竹中氏側にも計算はある。主導する郵政事業の民営化は党側の抵抗を受けてきたが、「選挙での貢献があれば、青木幹雄参院幹事長らも評価せざるを得ず、力関係が変わる」(政府関係者)との期待がある。

 ただ党内には、小泉改革に批判的な業界や地方組織から逆に反発を招くという不安の声もある。公明党幹部も「どういう人が入れるのかわからない」と言い、竹中効果は30万票程度とみている。

 ●候補断念、浮く「日歯票」

 日歯連は11日に都内で臨時評議員会を開き、笹井氏の選挙運動をしないことを決定。日歯連幹部と笹井氏は16日、自民党の青木参院幹事長と会談し、公認を辞退するという事実上の出馬断念の考えを伝えた。「比例区は『自民党』と書くよう呼びかける」と申し出るのが精いっぱい。中央社会保険医療協議会(中医協)を舞台とする臼田貞夫前会長の汚職事件を受けて、それまでも、笹井氏は参院選に向けた活動自粛を表明していた。

 日歯連は日本歯科医師会の政治団体。自民党の支持団体でも有数の資金力を持ち、01年参院選での組織内候補だった中原爽氏は10万票余りを獲得した。この基礎的な組織票が、笹井氏の断念で漂流しかねない。

 「多くが自民党と書くだろうが、さまざまな団体が都道府県単位で個別に連携を呼びかけており、『草刈り場』になっている」。党幹部はこう話す。関係者によると、日本医師会の政治団体である「日本医師連盟」は水面下で「3年後の参院選で日歯連の推薦候補に協力する」と申し出て、今回の選挙で日医連が推す候補を支援するよう交渉を進めているという。

 一方、最近では民主党参院議員が日歯連の一部幹部と勉強会を開くケースも。自民党内には「一部の票が民主など野党に流れるかも」(党関係者)、「一度組織候補の擁立を見送ってしまえば、3年後に立て直すのは難しい」(参院幹部)といった声も出始めた。

(06/18 10:33)


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