2004参院選
 
小泉旋風、今度は逆風 年金説明不足が重荷に

 自民党の敗北に、小泉首相は顔をしかめた。人気絶頂で大勝した前回の参院選から3年。改革への期待はしぼみ、首相の説明不足に不満を募らせた有権者は、今回、「まじめさ」を押し出した岡田代表率いる民主党を躍進させた。1人区では自民候補が相次いで落選、「小泉さんに足を引っ張られた」と恨み節も噴きだした。不安定さを増す政権を、年金、イラク、憲法と、国の行方を左右する課題が待ち構える。

 東京・永田町の自民党本部4階の開票速報場。小泉首相は11日午後10時20分、姿を見せた。

 選挙結果について「なかなか厳しい戦いが続いている」と淡々と語った。年金や自衛隊の多国籍軍参加問題で「逆風だった」とも振り返った。

 自らの責任には、「与党で過半数をとれれば責任問題にはならない」。ひとごとのように「年金やイラクで賛否ある中、みなさん、よく頑張っていますね」と語った。

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 選挙中から、首相への自民党地方組織や有権者の視線は厳しかった。

 首相が三重県桑名市に入ったのは9日。自民党の新顔は苦戦を強いられていた。

 もともと首相への期待は大きいものとはいえなかった。県連幹部によると、「動員をかけず、小泉さんに今の人気のなさを実感させるべきだ」との声まで出たという。

 しかし県連会長の田村憲久・衆院議員は「少しでも支持が広がってくれれば」と期待を込めた。

 結局、自民党は斎藤十朗・元参院議長が31年余り守ってきた議席を失った。橋川犂也・県連幹事長は話す。「年金問題での小泉さんの説明不足を我々が補うのに、時間の多くを費やさざるを得なかった」

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 秋田では15年ぶりに自民党が敗れた。

 落選の報に、党県連幹部は「できることはすべてやった」と話した後、首相から送られた「必勝」の文字を恨めしそうにあごでしゃくった。

 「足を引っ張ったのはあの人だ」

 地方への補助金などを削減する三位一体の改革への反発もあった。建設業者は「地元の自民党はいいが、小泉改革が続くと思うと参院選の応援には身が入らない」と言った。

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 保守王国・宮崎でも、閣僚経験のある現職候補が苦戦していた。

 公示前日、自衛隊の多国籍軍参加反対の意見書を日向市議会が可決した。自民党市議も「首相は説明責任を果たしていない」と賛成に回った。

 首相は8日、街頭演説で景気対策に重点を置いたが、大物落選という最悪の事態となった。

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 山形は自民現職が、山形市などの都市部では競り負けながらも、民主新顔との接戦を制した。

 自衛隊の多国籍軍参加や年金問題で自民現職は「小泉さんは国民に説明する責任がある」とかわすのに必死。「政策論争から逃げるな」という野党からの追及に、頼りにしたのは元衆院議員の浜田幸一氏だった。「難しい政策論をしないから、票を減らす心配はない」。選挙中、山形に首相は入らなかった。

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 「選挙はやってみなければわかりません」

 9日、滋賀県彦根市。自民と民主の新顔が競り合っていた。炎天下、首相の絶叫調は影を潜めた。見守る自民党県議は「元気がないなあ」と心配顔だった。

 3年前の参院選。「小泉旋風」はすごかった。町中に張ったポスターが片っ端から消えた。「画びょうは、きれいに残っていました」。ていねいにはがし、持って帰った跡だった。

 3年たった。旋風は逆風に変わっていた。 (07/12 02:17)


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