2004参院選

本社出口調査


年金重視派46%民主へ 不満層幅広く取り込む



 11日に投開票された第20回参院選では、自衛隊の多国籍軍参加と並んで「最大の争点」とされた年金問題が、有権者の投票行動に大きな影響を与えた様子が浮き彫りになった。朝日新聞が行った出口調査で、投票の際に「年金問題をどの程度重視したか」を3段階で聞いたところ、「最も重視した」が45%で最も多く、支持政党の違いを超えて年金問題が関心を集めていた。さらにこの「最も重視」層が比例区でどこに投票したかをたどると、民主が46%で自民の22%を大きく上回った。

 年金問題は、保険料の引き上げと給付切り下げを含む改革関連法が、与党が採決を強行して6月に成立。政治家による未納・未加入の相次ぐ発覚や、財政試算の前提となる出生率データの法成立後の公表などもあり、政府・与党の姿勢が問われた。出口調査では、この年金問題に対する意識と投票行動の関係を探った。

 年金問題に対する政府の取り組みへの評価と年金問題の重視度との関連を調べた結果、「大いに評価」層の78%、「全く評価しない」層の55%が投票を決める際に「年金を最も重視」と答えていた。年金をめぐる政府の取り組みに両極の意識を持つ層で、投票の際に年金問題を重視する傾向が強かったことが分かる。

 選挙戦では自民は景気回復など小泉政権の実績を強調。公明は年金改革で果たした役割の大きさを前面に訴えた。民主、共産、社民は年金問題を最大の争点に掲げ、政府・与党を批判した。

 「最も重視」と答えた人が比例区でどの政党に投票したかをみると、民主の46%が圧倒的に多かった。次いで自民22%、公明11%、共産9%、社民5%の順だった。年金制度への不信や政府・与党への不満を持つ有権者の票の多くが民主に流れたことが明らかだ。

 比例区で民主に投票した層を見ると、本来の民主支持層以外が52%を占めた。無党派層が28%、さらに16%は自民支持層からの票だった。また、民主投票層の政府の年金への取り組みに対する評価を見ると、「評価しない派」が72%に達し、民主が支持政党の違いを超え、政府の取り組みに厳しい見方をする人たちの票を幅広く集めたとみられる。

 一方、比例区で自民に投票した層の「評価派」は55%、「評価しない派」は37%。自民支持層ではそれぞれ53%、43%となっており、自民支持層のうち政府の取り組みに批判的な人たちは自民以外に投票した可能性がある。

 また、年金を「最も重視」する層の中で最も多かった「政府の取り組みを全く評価していない」と答えた人たちが、比例区でどこに投票したかをみると、民主が最多で61%。次が共産で14%、社民8%、自民7%、公明4%となっている。

若年層ほど政府批判

 世代別の年金重視度は、年代が高いほど高い傾向。「最も重視」の割合は、60代が最高で57%、50代が53%と下がり、20代では27%だった。若い世代ほど年金給付が遠い将来の話で、重視度が低くなっていると見られる。

 一方で政府の取り組みへの評価は、年代が低いほど厳しい。20代・30代では71%が「評価しない」と答えた。40代では67%、50代62%、70歳以上36%と割合が低くなっている。

 20代や30代では、比例区でどの政党に投票したかにかかわらず、「評価しない」割合が高かった。これに対し70歳以上では、自民、公明に投票した人たちの60%以上が取り組みを評価した一方、民主、共産、社民に投票した人たちの約60%が評価していなかった。

 年金問題は、都市規模が小さいほど重視度が高い傾向があった。町村と一般市では「最も重視」がそれぞれ48%、46%で最も多かったが、指定市では41%で「最も重視したわけではない」を4ポイント下回った。

◇    ◇

 出口調査は全国3660カ所の投票所で実施した。投票を終えた有権者に調査用紙を渡し、回答の秘密が守られる形で、選挙区で投票した候補者、比例区で投票した政党、ふだんの支持政党などについて答えてもらった。約18万6800人から有効回答を得た。%の数字は、小数点第1位を四捨五入したため、合計が100にならない場合がある。

(朝日新聞2004年7月12日朝刊紙面)


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