群馬選挙区の、ある陣営の運動員はノート型のパソコンを大切に抱えて歩く。中には地域住民数百人の名簿。名前、住所、職業、電話番号、家族構成、紹介者名。地域を回って名刺を交換する度、データを加えていく。 名簿は、信号機と同じ色に一人ずつ色分けされている。青は「確保」、黄は「不明」、赤は「敵対」。3色の点は地図に落とし、「ここが弱い」と重点地域をまた歩く。 「支持者名簿は命の次に大事。今はこれできっちり管理してます」 陣営にとって、のどから手が出るほどの存在だ。千葉県の元参院議員の秘書は、苦い経験を明かす。「支持者の名簿だよ」と選挙屋から300人分を数万円で買った。電話すると、10年も前に転居していたという。 名簿はほとんどの場合、議員か秘書が自宅の金庫などに保管し、次に生かす。選挙違反の疑いで警察の調べが入る直前、焼却したり、庭に埋めたりという話もある。 まだ名簿のない東京選挙区の新顔陣営は、電話帳などを使って公選はがきのあて名を書いている。ボランティアの男性(39)の指にはペンだこ。「汚い字は書けない」と、つい力が入る。
(朝日新聞2004年6月28日夕刊紙面)
|
ニュースの詳細は朝日新聞へどうぞ。購読の申し込みはインターネットでもできます。 |
![]() |
---|