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昔に比べて、今の中学生はとても忙しい生活を送っています。学校の宿題が増える傾向にある一方で、携帯電話やスマートフォンに時間を費やす子も大幅に増加しました。学校以外の勉強や習い事、さまざまなメディアなどに時間を割り振って、多忙な一日をやりくりしているのです。
ベネッセ教育総合研究所では、子育てや教育に関する独自の調査研究を行っており、子どもたちの放課後の過ごし方についても研究しています。2013年に実施した「第2回放課後の生活時間調査」によると、放課後の自由な時間は、中学1年生で4時間18分、2年生で4時間37分。部活に参加することに伴って、小学6年生(4時間47分)に比べて自由に使える時間は少なくなります。
同研究所副所長の木村治生氏は「時間は有限。ゆえに、時間をどう使うかはとても重要です。うまく時間を使えている子どももいれば、そうでない子どももいます。しかし、この『時間をコントロールする力』は、大人になっても重要な能力。認知能力が高まる中学生の時代にしっかり身に付けたいものです」と語り、時間を有効活用することを提唱しています。
「集中力を欠いたまま長い時間学習しても、なかなか効果は上がらない。そのことは、私たちは経験則として知っています。今回は『英単語の記憶』という一部の力の測定ではありますが、15分の集中を積み上げるほうが、長時間続けて学習するよりも1週間後の結果が良いというデータが得られました。経験則が実証されたと言えます。これは、『学習の質』にも関連していると考えられます」
木村氏は、「15分×3(計45分)学習」「60分学習」を比較した実験の結果について、このように話しています。氏が語る「学習の質」とは、「学習の量」とともに重要な要素。「学習の成果は、『学習の量』と『学習の質』の掛け算でとらえることができます。一般に、成績が良い子どもは『学習の量』が多い傾向があり、一定の『学習の量』は必要です。しかし、時間は限られている中で、より効果が高い学習方法を見出していく必要があります」とのことです。
「中学生は、自分なりの学習方法を身に付けていく段階」と木村氏。自分の時間を大切にしながら効果的に勉強するためにはどうすれば良いかを、子ども自身が意識できるようになれば、「学習の質」を高めるための第一歩になるかもしれません。