朝日 地球会議2017特別協賛企業・団体による 特別講演・登壇

朝日 地球会議2017 特別協賛企業・団体による 特別講演・登壇 広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

特別講演
「AI技術が生みだす未来社会」

日本電信電話株式会社 コミュニケーション科学基礎研究所
上田 修功 上田特別研究室長(NTTフェロー) 機械学習・データ科学センタ代表

2020に向け、AIを活用した時空間多次元集合データ分析技術へ

この10年間、ビックデータ、IoT(Internet of Things)、AI(人工知能)といった情報技術があらゆる分野に浸透してきました。NTTグループでもAI技術を活用し、グループ一丸となって様々な連携を行うべく、「corevo®(コレボ)」というブランドネームのもと、取り組んでいます。

AIには2つの側面があります。一つは、ロボットや囲碁ゲームのように人の知能を模倣するもの。もう一つは、人の活動の一部を代替支援し、共存・共創することで人の生活を豊かにするものです。NTTグループでは主に後者を目指し、次に挙げる4種のAI技術群を活用し、研究開発に取り組んでいます。

一つ目は、人や外界を奥深く認識理解する「エージェントAI」、二つ目は、単なる利便性に留まらず、QOL(Quality of life)や心地良さを追求する「ハートタッチングAI」、三つ目は、環境に知能を持たせる「アンビエントAI」、四つ目はネットワークの強みを生かす「ネットワークAI」です。

「機械学習」という言葉を聞かれたことがあると思いますが、これは30年ほど前から研究されています。現在使われている統計や翻訳技術などはすべて機械学習技術が土台になっています。様々な分野での膨大なデータの収集が可能な時代となり、そうしたリアルなデータの背後に隠された規則や知識を抽出するのが、ビックデータ時代における機械学習技術と言えます。加えて、IoTの技術が発展し、様々なセンサーが、ありとあらゆる場所やモノに設置され、人間の活動、あるいはモノの動きまでもが観測できるようになりました。

データ分析においては、現状の分析、将来の分析、単一のデータ、あるいは複数データ、というように、4つの象限があるのですが、私たちは将来にわたって、複数のデータを使うことで、いつどこで何がどうなるのかということを予測し、それから制御・誘導するところまで目指しています。

従来の分析の場合、回帰分析に代表されるよう、この商品が売れたのは何が原因だったのか、あるいは株価はどのように上がっていくのだろうかといった分析が主でした。NTTグループでは物理センサーを使い、特定の場所や時間のデータを収集することで、時空間多次元集合データ分析技術へ移行しています。例えば大規模イベント会場周辺のある地点の、任意の時間帯における混雑度をリアルタイムに予測するといった技術です。

人間は、周りが向かう方向に一緒についていくといった集団行動をとる傾向があります。駅などで混雑が発生するのはそのためです。こうした際には、適切な情報に基づいて誘導することが重要です。私たちがめざす理想的なナビゲーションは、個人ではなく集団として最適な誘導をすることです。さらに、リアルタイムに誘導する必要があります。渋滞や混雑が生じてからでは遅いわけです。2020に向かって、人流をなるべく混雑しないように誘導する学習型の集団最適誘導技術をつくっています。

宇宙サイエンスの分野でもNTTグループの機械学習技術が貢献

NTT研究所は、2014年より東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリIPMU)などの研究機関と共に、地上大型望遠鏡「すばる」で取得される25兆ピクセルにおよぶ膨大な画像データを解析し、目には見えない宇宙のダークマター分布を3次元で明らかにする取り組みをしています。

近年、宇宙が膨張し、地球が潰されるのではないかという不安の声がささやかれますが、アインシュタインは100年前に宇宙は膨張していると主張していました。2011年3人の物理学者が超新星を40個発見し、その動きを見て宇宙は加速膨張していることを証明し、ノーベル賞を受賞しました。

ダークマターと呼ばれるものに対して、ダークエネルギーというものが支配することで宇宙が膨張しているということを証明するために超新星を発見する必要があるのですが、私たちに求められているのは、偽物と本物を機械学習で見分けることです。一晩で何千個も観測される星を、今まで天文学者たちは1秒間に数枚のスピードで分類してきましたが、これを自動化することが非常に重要です。

観測したデータを画像処理し、天文学者がそれぞれ超新星か否かに分類します。難しいのは1000分の1しかない超新星をできるだけ正確に発見する技術です。こうした技術をNTT研究所で作り、実際に超新星の観測に活用し、すでに1000くらいの超新星を発見し、研究に役立てています。つまり、AIはロボットや囲碁ゲームだけでなく、宇宙サイエンスにも貢献しています。

私たちNTTグループは、IoT、ビックデータ、人工知能というような時代に向けて、これまでに培った人工知能技術を駆使して、安全で豊かな社会を実現するため、社会課題の克服、あるいは産業競争力の強化を目指し、今後も一丸となり、AI技術・サービス「corevo®」を推進してまいります。

上田 修功

日本電信電話株式会社 コミュニケーション科学基礎研究所 上田特別研究室長(NTTフェロー)
機械学習・データ科学センタ代表

1958年大阪府生まれ。大阪大学大学院修士課程修了。工博。理化学研究所革新知能統合研究センター副センター長等兼務。専門は機械学習。共著書に「続わかりやすいパターン認識」(オーム社)等。

朝日地球会議 環境 その先へ 接続可能な社会の実現 The Environment and Beyond~Towards a Sustainable Society 公式サイトはこちら