朝日 地球会議2017特別協賛企業・団体による 特別講演・登壇

朝日 地球会議2017 特別協賛企業・団体による 特別講演・登壇 広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

特別講演
「文化財VRとデジタルアーカイブの現状とこれから」

矢野 達也 凸版印刷 文化事業推進本部 本部長

凸版印刷が「文化財VR」に取り組む理由

なぜ印刷会社である凸版印刷がVRに取り組んでいるのか。印刷技術は、色を合わせるカラーマネジメント技術、高精細な撮影技術、大量のデータを扱う画像処理技術など、複数の技術の組み合わせによって実現されています。こうした印刷技術に加え、文化財を取り扱うノウハウやこれまで築いてきたお寺など文化財ホルダーとの信頼関係をベースに、最新の3次元形状計測技術など、あらゆる技術を組み合わせて実現しているのが「文化財VR」です。

私たちはこの事業に「バーチャルリアリティ」という言葉がまだ一般的ではなかった20年ほど前から取り組んでいます。実は、印刷技術も、ワインの製造のための葡萄搾り機が印刷機となり、コインの鋳造機が金属活字となり、この二つの技術を組み合わせて成立したと言われています。

このように異なる技術を組み合わせて、多くの人に知識や情報を伝え、豊かな文化を作り出すというのはまさに印刷テクノロジーのDNAであり、凸版印刷の文化財VRへの取り組みはごく自然な形でスタートしたのです。

時間や空間を超えた視聴体験ができる文化財VR

VR映像の製作というと、パソコンに向き合ってCGを作ったり、プログラミングをしたりといった場面を想像されるかもしれません。しかし、文化財VRに関しては、現場での色彩計測や撮影といった作業が重要となります。「オルソスキャナ」という高精度のアーカイブデータを送信できる特殊な機器を自社開発し、普通のカメラでは歪みが出てしまう部分も歪みなく正確な画像が取得できます。

文化財VRは、鑑賞場所を問わないため、屋内ではシアター形式、また屋外ではスマホやタブレットを活用してどこでも鑑賞できます。国宝などは公開期間が限定されているケースが多いのですが、VRであればいつでも自由に見ることができます。さらにどんな視点からでも見られるのも大きな特長です。普段は臨むことができない場所から鑑賞したり、大きな文化財を超俯瞰によってその全体像を理解しながら鑑賞できます。さらに、すでに無くなったものでも再現して見られるたり、今と昔と比較できるなど、時間や空間を越えた視聴体験ができるのも文化財VRの大きなメリットです。

文化財VRのもう一つの特長が、デジタルアーカイブデータにより、当時をリアルに再現できることです。正確に記録されたアーカイブデータはその細部まで厳密に再現することができます。そしてこの精密な映像データを使って「カーブスクリーン」や「ヘッドマウントディスプレイ」などで視野角を覆うと、その場に居るような没入感を味わうことができます。また、コントローラーを使って、自分が行きたいところに行くなど、インタラクティブ性が加わることによって、よりリアルな臨場感を味わうことが可能です。

文化財の消失、劣化といった社会課題解決にも貢献

こうしてつくられたアーカイブデータは観賞体験の向上だけではなく、文化財そのものの保存や劣化対策に非常に有効です。災害などで劣化や焼失が起こった場合、修復や復元の資料としても活用できます。大気汚染や酸性雨、温度や湿度のほか、太陽光や照明をあてるだけでも文化財の劣化は進んでいきます。こうした文化財をどのように保存し、次の時代に受け継いでいくのか、というのは私達の世代にとって大きな課題ですが、文化財を倉庫の奥に保管し、誰も見ることができないのでは意味がありません。このように保護とバランスをとるために、国宝などの文化財の保護と公開を両立させ、教育や観光など様々な用途で活用していくことが今大きな社会課題だと言えます。

私達はVRやアーカイブ技術を活用して、文化財の消失、劣化と社会的な課題を解決しながら、より身近で文化体験ができる持続可能な未来をつくりたいと考えています。そのためにもVR技術をこれまで以上に磨き上げ、博物館や美術館を飛び出して、もっとオープンでインタラクティブな文化イベントや展示会をこれからも提供していきたいと考えています。日常生活と文化の距離をもっと縮めて、VRやプロジェクションマッピングで文化をより身近に感じられる、そしてレプリカや複製品で文化財に触れるという文化体験を創造していきたいと思っています。

矢野 達也

凸版印刷 文化事業推進本部 本部長

1987年凸版印刷入社。2014年に情報コミュニケーション事業本部トッパンアイデアセンタークリエイティブ本部長。2017年4月より文化事業推進本部長として、トッパンVRおよびデジタルアーカイブを起点に観光立国・地方創生分野における社会的課題解決型の新事業開発を推進。

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