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南山大学大学院ビジネス研究科ビジネス専攻
プロジェクト研究をコアとして、アジアで活躍するビジネス・プロフェッショナルを育成

南山大学大学院 ビジネス研究科長
湯本 祐司 教授

 MBAの社内評価はどうあれ、マネジメントスキルを身に付けたビジネス・プロフェッショナル=経営者が足りないといわれる。今や中小企業でもグローバル化が将来の命運を担う時代だけに、海外で事業を展開できる人材がますます必要になってきたのだ。南山ビジネススクール=南山大学大学院ビジネス研究科ビジネス専攻は、そうした要請に応えて2006年に開設された専門職大学院である。「ものづくり」の産業拠点として日本を支えてきた東海地区にあることから、カリキュラムは「実学重視」だが、経営倫理も必修科目としていることが特色だ。ビジネス研究科長の湯本祐司教授は「経営と倫理は矛盾するものではありません。むしろ倫理なき利益追求ほど危険なことはないのです。地域社会・国際社会の中で価値を共創していくマネジメントこそが企業の永続性のカギを握ると私たちは考えています」と語る。

アジアの特性を考慮して イスラム圏に強いバングラデシュ出身の教員も配置

 南山ビジネススクールは、国際社会で効果的な企業経営を推進できるビジネス・プロフェッショナルの育成を主眼としているが、とりわけアジアを意識した経営と人的資源管理に関する科目群が充実。経営戦略として「国際経営」や「技術経営」といった基本的な科目に加えて、「ものづくり企業の経営戦略の歴史的展開」や「海外から見る日本的経営」などユニークな科目があるほか、「アジア経営」としてビジネススクールでは珍しい「イスラム圏アジア諸国の企業経営」が設置されている。

 「東海地区は製造業が多く、大企業のみならず中小企業もグローバル化が喫緊の課題になっています。工場などの海外進出となれば、発展途上のアジアが対象となりますが、インドネシアやバングラデシュなどイスラム圏が少なくありません。日本では専門家が少ない分野ですが、現地でのビジネスに詳しいバングラデシュ出身の教員が担当。宗教や文化の違いなどを正確に認識した上で、無理なく経営や人材を管理できる実践的なスキルを学ぶことができます」(ビジネス研究科長・湯本祐司教授、以下同)

 それだけでなく、「経営倫理」を必修科目として専任教員を配置していることが、もうひとつの際立った特色だ。南山大学は「人間の尊厳のために」をモットーとする中部地方で唯一の共学のカトリック系大学であり、南山ビジネススクールはその大学院なので当然ともいえるのだが、これからのグローバル社会で地域との共存共栄を考えない独善的なビジネスが信頼されるはずがない。

 むしろ、そうした理念があるからこそ、前述の「イスラム圏アジア諸国の企業経営」という科目が設置されたのである。

 「企業利益の追求と倫理は往々にして衝突することもあるでしょう。そんな時にはこうしなきゃいけないではなく、倫理に基づいた発想や思考の枠組みを身に付けることで、地域や国際社会と企業の双方にとってより良い結果をもたらす意思決定を行うということです。それを私たちは『価値共創型のマネジメント』と呼んでいます。ただし、これは個人の社会観や世界観によっても結論が異なってくる正解のない分野。そうした状況に直面するビジネスリーダーのために、より広い視野を持ち、深く考える力と果敢にやり遂げる力を育成する学習目標とカリキュラムを設定しているのです」

プロジェクト研究を通して、実務と理論を融合

 同ビジネススクールのカリキュラムは、1年次に会計基礎や数理基礎の「導入科目」、経済学やマーケティング、ファイナンスなどを学ぶ「コア科目」を履修する。それと並行して人的資源管理やオペレーションズ・マネジメントなど「発展科目」の一部がスタートするほか、修了要件には含まれないが、ビジネス中国語や英語ビジネス・ライティングなどの「コミュニケーション・スキル科目」も受講できる。

 MBAでは必須の科目を過不足なくカバーしているだけでなく、湯本研究科長は「クセのある興味深い科目も複数ありますよ」とも付け加えてくれたが、上記に加えて「実践科目」として設定されているプロジェクト研究が同スクールのハイライトといえるだろう。

 具体的には、1年次の秋学期に「プロジェクト研究Ⅰ」として、グループを編成してチームビルディングやリーダーシップなどを学ぶ。複数のメンバーで業務分担やディスカッションなどを展開していくために必要なスキルを習得するわけだ。

 2年次の春学期になると、この経験を活用してグループによる本格的な課題解決学習を行うのだが、「プロジェクト研究Ⅱ」と「産官学連携プロジェクト」のどちらかを選択する。前者は学生が自主的に研究課題を持ち寄り、それに賛同するメンバーとチームを形成して適切な解決策を見つけ出すというもの。後者は同ビジネススクールの協力企業などに提供してもらった課題の解決に挑む。どちらも予め正解が準備されているわけではなく、それまでに学んだ知識や理論と自分自身の実務経験を、課題解決に向けて統合していくことに意義があるわけだ。

 ちなみにとして、「プロジェクト研究Ⅱ」として発表されたレポートの題目の一部を紹介しておこう。

●中小企業のメンタルヘルス対策~メンタルヘルス不調者を出さない職場づくり~
●事業価値評価に関する研究~中堅・中小企業の事業価値評価をするにあたって~
●中国山東省の中小企業における人材育成のあり方と課題
●緩和ケアのニーズ調査と経営に関する研究
●企業統合におけるモチベーションの変化
●グループ型開発業務における課題と提言
●日本の照明市場の将来展望~10年後、LED照明は照明市場の盟主となり得るか~
●施設園芸の海外展開

「学生が課題を決める『プロジェクト研究Ⅱ』では、問題意識をチームで膨らませていくことに意義があります。異業種の社会人学生も多いので、彼らの多様な経験や視点によって、テーマを出した本人も気づかなかった問題点が判明することもあって、より現実的で適切な解決策に導くことができます。産官学連携プロジェクトでは、企業などが現実に抱えている悩みや課題がよく分かるほか、その解決策を探る中で新しい知識や理論を自然に学んでいくことにもなります。たとえば2013年度は東海地区の国際起業家の成長戦略を提案しました」

駐車場完備でクルマ通学も可能な希少なビジネススクール

 同ビジネススクールは専門職大学院なので、アカデミックな修士論文ではなく課題研究で代替できるのだが、このプロジェクト研究が弾みになるせいか、優れたレポートが少なくないという。

 こちらも、以下に課題研究の題目の一部を紹介する。

●起業成功のための要素~成功する創業者とは~
●新規ビジネス開発プロセスに関する研究
●中小ものづくり企業における人材育成の現状と課題
●これからの中小製造業が進む道とは~中小製造業の生き残りをかけて「脱下請け」を目指す
●最適な需要予測手法と在庫管理~自動発注システムの構築に向けて~
●国際相続と税務~日米の遺産税等の比較考察~
●中国におけるアメーバ経営の実現について
●新たな薬局モデルの提案~業態革新・「調剤薬局」からの脱却~
●日本における成果主義賃金制度の導入の現状及び課題~経営指標からの検証研究~

 話が前後するようだが、同ビジネススクールは働きながら学ぶ社会人を重視しており、授業は仕事に負担を与えないよう平日は午後6時40分から2コマを開講。週末土曜日も午前9時20分から5コマを実施しており、これらを組み合わせれば2年間でMBAを修得できる。

 さらに、学生用の駐車場を完備しており、クルマでの通学も可能というから驚く。数あるビジネススクールの中でも希少といえるだろう。授業後に居酒屋で一杯というわけにはいかないが、広い道路が縦横に走る名古屋だけに、通学も帰宅も大変に便利になることは間違いない。実際に、かなり遠方から通学する社会人学生も珍しくないという。

 「自分の殻を破りたいと望む社会人に入学してほしいですね。様々な業種や職業の社会人が集まっているので、会社では決してできない他流試合が可能なのです。それを通して異業種の友人と親交を深めながら、より大きな視野と展望を持つ人材に成長していただきたいですね」