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実務経験を棚卸しして学問的に整理できるのが大学院。
ステップアップに繋がる人脈も獲得。
立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科2014年3月修了 中野未知子さん

 社会人を対象にした大学院研究科では、専門領域を中心にその周辺の学問領域も学べるように学際的に科目設定をしていることが多い。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科もその一つで、修了生の中野未知子さんも「社会学がベースなので学生の研究テーマも多岐にわたり、それぞれの発表を聞くだけで興味・関心が広がっていくのを実感しました。クラスメートとは修了後も交流が続いており、今もお互い刺激し合っています」と話す。

1974年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業。2000年からビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)サービスを展開するトランスコスモスに在籍して、マーケティング、人材育成などを担当。2012年立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科に入学。14年3月修了。現在は研究を続けるかたわら、人材育成を専門にするフリーの講師、ファシリテータとして活躍。多摩大学非常勤講師も務める。

——入学動機を教えてください。

 トランスコスモス社は、ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業を手掛けており、たとえば顧客窓口、経理や総務などの業務を様々な規模や業種の企業から受託していました。そうした中で私はコールセンター現場の実務から、マーケティング、営業支援、R&Dなど様々な業務を経験させていただきましたが、特に後半の数年間はビジネススキルを養成するプログラムの企画とデリバリーを中心とした人材育成の仕事を担当しました。また、同時にCSR(企業の社会的責任)の一環として、大学での実務家講師としての講義や、大学生のインターンシップのコーディネートも担当。こうしたなかで人事の専門家としてのキャリア形成を意識するようになり、これまでの経験を学問的に整理しようと思い、大学院に入学しようと決心しました。

 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科を選んだ理由は、インターネット経由でシラバスを読み、学びたい内容に合っていると判断したから。実はMBAなども検討したのですが、私が大学院でじっくり考えたかった問いは、仕事がうまくまわる現場とそうではない現場との違いというもので、この21世紀社会デザイン研究科ならばそうした「場」や「コミュニティ」に関して様々な視点から研究ができそうだと感じたのです。社会学を扱う研究科ですから、多様な研究テーマをもったクラスメートに出会えることや、そこで得られる人脈にも期待しました。

修了式を間近に控えたゼミの集まり。研究科長でもある中村陽一教授を中心に思い出やこれからの目標を語り合う。

——実際にどんなことをテーマに研究したのでしょうか?

 入学当初は、「組織の目的を達成するための場の持ち方」を修士論文の研究テーマにしていたのですが、授業やゼミに参加しながら参考文献を読んでいった結果、最終的には「スターバックスの対人サービスデザイン研究〜第四の消費社会に生きる人々のサードプレイスとは」という題目に落ち着きました。

 サードプレイスとは、ファースト(家庭)でもセカンド(企業や学校)でもない、第三の場であり、具体的には例えば地域のコミュニティなど、人々が自由に集い交流する居心地のいい場を意味します。研究を進めていくにあたって、自分の中の問いを、一体どんな視点で追究するのがよいか悩んでいた時期に、あることがきっかけでスターバックスのミッション(企業の使命)についての文献を読む機会がありました。そこには「サードプレイス」という言葉が取り上げられており、「これだ!」と。スターバックスではコーヒーの淹れ方は厳格に決まっているけれども、接客にはマニュアルがありません。お客様にとって居心地のいい場として利用してもらうことを目指して店員同士で考え工夫しながら接客することが尊重され、且つ求められているんですね。これはほかの全国展開するコーヒー店では、当時類を見ないことでした。効率化による営利追求が当たり前の業態であるはずなのに、こうしたやり方が成立しているのが不思議で、これは最初の研究テーマだった「組織の目的を達成するための場」にも繋がるのではないかと考えました。

 実際にスターバックスの人事担当者や店長、アルバイト経験者の皆さんにインタビューに協力いただき論文を完成させました。そして現在も「サードプレイス」は私の研究テーマになっています。

——仕事と学業を両立させるポイントは何でしょうか?

 一番大事なのはタイムスケジュールでしょう。私の場合は、朝型なので毎日6時に起床して、電車での移動時間に本を読んだり、仕事前にカフェで予習したりしました。通学は、1年次は平日4回と土曜日。2年次は土曜日のゼミが中心ですが、平日にも2コマだけ履修しました。キャンパスに行けばクラスメートに会うので、修士論文の進捗度合いを聞くことは自分にとって良いプレッシャーになりました。

修了後にもオープンキャンパスに参加。入学志望者を前に研究成果や在学時のエピソードを話す。

——大学院での収穫とは何でしょうか?

 まず、私のような講師業は、学業の専門分野を問われることがしばしばあるので、学士よりは修士であるほうが望ましいですし、大学院の知名度も少なからずメリットになります。

 次に、クラスメートや教授とのネットワークが構築できたことも大きな収穫です。クラスメートとはフェイスブックを通して今も頻繁にやりとりしていますし、気になるイベントなどがあれば互いに誘い合って出かけています。

 また、修士論文の指導教授だった中村陽一先生は、私の研究に関係する学会やフォーラムがあると「参加してみては」と声をかけてくださいます。先日も先生が司会を務めた「街角の公共空間を考える」というトークセッションにパネラーの一人として登壇して、建築家や劇場の館長など異業種の方とお話する刺激的な機会をいただきました。このほかにも、修論のテーマをきっかけに「公共のサードプレイス」として興味をもった東京都美術館で、アート・コミュニケータというボランタリーな活動もしています。大学院での学びをコアにして、自分のフィールドがどんどん広がっているのを実感しています。

——これからの目標を教えてください。

 講師やファシリテータの仕事だけでなく、研究も続けていきたいと考えています。というのも、大学院に通ったことで自分の仕事が学問領域ではどこに関連するのかが分かり、その基礎を学ぶことができた結果、次のステップの方向性が見えてきたからです。私の場合はコミュニティ論やサービスデザインをベースとしながら、今は経営学の視点から組織開発や人材育成の理論と実践にチャレンジしています。

 また、お世話になった会社(トランスコスモス)への恩返しとして、若手が成長できるようなプログラムの開発など、積極的に提案していきたいですね。

——これから大学院を目指す社会人へメッセージをお願いします。

 よく相談を受けるのですが、「仕事が忙しい」「授業についていけるか不安」などと大学院へ興味はあっても、なかなか踏み出せない方は多いようです。特にビジネスパーソンはまずゴールを決めて、そこまでの段取りを慎重に考える人が多いですよね。仕事ではそれが求められる人が多いですから。でも大学院については、学びたいという意欲を最優先にしてもいいのではないでしょうか。

 費用を心配する方もいるでしょうが、大学院には奨学金制度も多様にあります。私は給費奨学金をいただき参考書籍の購入費や調査費に充てることができ助かりました。

 いろいろ気になる問題はあっても、一つひとつ解決していけば道は開けた、というのが実感です。まずは挑戦していただきたいですね。

中野未知子さんの1週間のスケジュール(修士1年:2012年前期の場合)

 
6:00-7:30 移動・予習復習 移動・参考文献読込・思考の整理 移動・予習復習 移動・参考文献読込・思考の整理 移動・予習復習    
7:30-9:00 仕事 仕事 仕事 仕事 仕事
9:00-10:30
1限

移動・予習復習

10:45-12:15
2限
参考文献読込・思考の整理
13:15-14:45
3限
レポート作成、ゼミ発表準備
15:00-16:30
4限
16:40-18:10
5限
移動 移動 移動 移動 移動 社会デザイン学の可能性
18:30-20:00
6限
ケース・スタディ法 レポート作成 ソーシャル・マーケティング論 アジアの生活と文化 ソーシャルイノベーション論 ゼミ  
20:10-21:40
7限
ローカリズム原論1     ボランタリー経済論    

※黄色が授業。