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流通ジャーナリスト・金子哲雄氏と考える業務改善&コスト削減による組織力アップ術

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震災を機に、通信手段はまさに“ライフライン”と実感

――2011年は日本ばかりか世界にとって大変な一年となりました。

インタビュー時の金子哲雄氏 今年は東日本大震災が起こり、我々日本人にとっては忘れることのできない年です。そして、震災をきっかけに改めて情報通信システムのありがたみを感じた方も多かったのではないでしょうか。特に3月11日当日は、電話がつながらない、メールもFAXも送れない。そのため先方の状況もつかめないし、こちらの現状報告もできないというような状況が日本中いたるところで発生し、通信手段はまさにライフラインであることを痛感させられました。私自身、震災当日はロケ中で継続か中止かと判断に迷っていたのですが、プロデューサーと連絡が取れず、苦労しました。この経験もあって、震災後は今後の備えとして、つながりやすい携帯電話を持つ、ツイッターやフェイスブックなど複数の連絡手段を持つようにしました。

――震災に加えて世界的な不況で、企業にとっては厳しい1年でした。来年以降もこの状況は続くと思いますが、企業はどのような心構えで事業継続をしていくべきでしょうか。

 ヨーロッパの金融危機、日本の経済成長率の低迷がベースにあるため、そもそも売上げを確保しづらい昨今、経費をかけたからといって必ずしも売上げを確保できるわけではありません。よって、売上げを上げるためのコストを極力削減していかなければならない時代になっています。結果的に、これまでは販売管理費という名目で売上げを上げるための必要経費が認められていた企業も、状況が大きく変化しています。営業だけをやっていれば売上げが上がる時代は既に10年前に終わったというのが、私の実感です。

コストダウンと売上げアップは両立できる

――企業がまず手をつけられる「業務改善」や「節約」にはどのようなものがあるとお考えですか。

 震災以降、エネルギーや環境に関する意識が非常に高まり、社会全体がより「最小のエネルギーで最大の効率化」を考えるようになりました。特にオフィスにおいてはペーパーレス化の流れが顕著になっています。例えば、名刺1枚をとってもオンデマンドで刷るという内製化に移行するだけで、大きな経費削減につながります。私が経営改善のお手伝いをしたある企業では名刺代だけで年間8000万円をかけていましたが、内製化することでコストが十分の一になりました。特に名刺の場合は、人事異動の際など、不要になった名刺を大量に廃棄するケースも多く、資源と経費の無駄づかいが指摘されています。必要な時に必要なだけ刷った方が効率的です。

 名刺を内製化するメリットは思わぬところにもあります。ある不動産会社では「戦略名刺」と称して、営業マンが週替わりで新着物件情報など刷った名刺を配ったところ、売上げが4倍に跳ね上がったそうです。これも名刺の内製化から出たアイデア。このように、日々のビジネスの中にも実はコストダウンと同時に売上げアップや業務改善につながる種がたくさん転がっていると思います。

――節約は当然コスト削減につながりますが、それ以外のメリットも多いわけですね。

 その通りです。まず、業務の効率化が飛躍的に進みます。私のオフィスでも、情報はすべてオンラインで共有し、紙の情報はすべてPDF化してストックしたところ、これまでの情報を確認したり探したりする時間が減り、業務効率が非常にアップしました。

「データ」をベースにした通信で業務を効率化

――通信手段にはインターネット、メール、電話、FAXがありますが、金子さんはFAXに関してはどのように活用されていますか。

インタビュー時の金子哲雄氏 テレビ局などからくる資料は基本的にはFAXですね。情報番組の出演者の中にはメールに慣れていない方もいらっしゃいますし、アンケートやコメントなど書き込み式になっているものや図表が多い資料なども多いのでFAXが活用されています。ビジネスのインフラとして、どこでも普及しているわけですから不可欠ですよね。

――最近はインターネットFAXも普及しつつあります。

 送受信が席を立たずに自分のPC画面上で処理できるのも良いですし、FAX情報をデータとしてストックしやすいのも魅力です。私は自分の仕事を“情報加工業”と位置付けているのですが、加工のしやすさではデータが一番。情報を加工しやすい手段の通信インフラを使うことが結果的に業務の効率化につながりますし、さらに売上げを増やすための情報のベースになってくるわけです。普段、取材や打ち合わせで外出する機会が多いのですが、オフィスを離れてもモバイル端末などでFAX情報を確認できるため、いつでもどこでもオフィスさながら仕事ができるのもありがたいです。

 そのほか、リアルタイムに情報の共有が行えることも注目すべきポイントです。紙ベースではなく、サーバーに蓄積された情報をスタッフ間で共有でき、進捗の確認や作業分担を行えるため、作業のダブりなどによる無駄な時間を削減できます。

――メールを送受信する感覚で利用できるインターネットFAXサービスは、どんな活用法があると思いますか。

 例えば、オフィスや店舗探しを不動産会社に依頼した際、物件の間取り図が不動産会社からFAXで送られてくるのが一般的ですが、その場合、外出先から帰社してから情報を確認することになります。しかしそのタイミングで不動産会社に電話しても既に契約済みになっているというケースが多々あります。ところがインターネットFAXを活用すれば、リアルタイムで空室状況を把握することができるようになります。具体的な例をお話ししますと、都心部でかつ、交差点の角地など好立地にあるビルの1階テナントの場合、どれくらいで契約が成立すると思いますか? なんと15分と言われています。飲食業や小売業など、出店場所が集客や売上を左右する場合、こうした店舗情報をリアルタイムで共有できるかどうかがカギです。外出先でもモバイル端末などを利用してFAX情報を随時確認できれば、ビジネスチャンスを逃すことがありません。こうしたスピードのあるビジネス展開を行うことが競争力と売上をアップする条件になってきているのです。

インターネットFAXは“一石三鳥”

――インターネットFAXの導入によって、単に業務効率の改善、コスト削減だけにとどまらず、顧客満足度や社員のモチベーションアップというような良い連鎖も生みそうですね。

 その通りです。まず、顧客満足度を上げる一番の近道は、スピーディーな顧客対応でしょう。顧客満足度が上がれば売上は自然についてきます。そして社員が「売れる」実感を抱くことができれば、全体の組織力は一気に上がります。リアルタイムで仕事が動いていくダイナミズムを実感できる組織は、必ず活性化します。そのためには、クラウドなどを活用し、いつでもどこでも在庫状況が把握でき、売上の流れや業務の進捗をスタッフ間で共有できる仕組みづくりが大切になるのです。

――環境面でもアピールできそうですね。

 この商品はコストダウンとエコが完全にリンクしているのも強みですね。最近ではCSRといって企業の社会的責任に注目が集まっていますので、企業イメージを上げていく上でも役立つかもしれません。インターネットFAXは、業務効率アップ、コストダウン、企業イメージアップの“一石三鳥”ですね。

 最近では、エコカー、充電池、スマートホン、ツイッター、フェイスブックなど、誰かが買って、良さそうだと思うと自分も積極的にまねして活用してみるという人が増えています。私はソーシャルドミノ現象と呼んでいますが、「良いことはどんどんまねしていこう」という流れは社会にとってはプラスに働くと思います。インターネットFAXもこの流れにのっていくツールになるかもしれません。

金子哲雄(かねこ・てつお)

1971年4月30日生まれ。鉛筆からミサイルまで、あらゆるジャンルの流通過程を「五感」で追い続ける流通ジャーナリスト 兼 プライスアナリスト。1994年 慶應義塾大学卒業後、株式会社ジャパンエナジー(JOMO :現・JXホールディングス株式会社)を経て独立。お金をかけずに売上・利益を高める手法を求めて、日本国内のみならず世界中の行列のできる店を訪問・取材。その経営ノウハウをわかりやすくルール化し、各種メディアで情報発信している。今年のスローガンは「お金をかけずに、Global Niche No.1」「お金をかけずに、小さくても世界で一番」をキーワードに テレビ、ラジオ、講演会などで活動中。最新の著書は『学校では教えてくれないお金の話』(河出書房新社)

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