第一回ゼミ
テーマ

「人工知能~われわれ人間は
どう付き合っていくべきか~」

松原仁先生(はこだて未来大学教授、駿台電子情報&ビジネス専門学校校長)

2016年12月14日(水)、駿台お茶の水センタービルにて、第1回目のゼミが開催された。この日のテーマは、今年の新語・流行語大賞にもノミネートされた「AI」。はこだて未来大学の松原仁教授によって「人口知能を取り巻く最新動向から人工知能とどう向き合うべきか」というテーマで講義が行われた。

人工知能(AI)とは何か?

最近テレビや新聞、インターネットなどで、「人工知能」という言葉をよく目にします。「Artificial Intelligence」の略で「AI」とも呼ばれます。人工知能とは何か、専門家の間でも実は定義がありません。なぜかといえば、「人間の知能とは何か」ということもはっきりと定義がされていないからです。よく知能指数(IQ)が、人の賢さを示す指標のように言われることがありますが、IQ=人間の知能というわけではありません。言葉を話すことも、耳で言葉を聞き分けることも知能です。知能にはたくさんの側面があるため、「これができたら知能」だと説明することができないわけです。

私は、子どものころ、テレビで見た「鉄腕アトム」に憧れて、鉄腕アトムのようなロボットを作りたいという夢を抱いたことがきっかけで、いま人工知能の研究をしています。人工知能というのは、「人間のような知能を持ったコンピューターやロボットを作りたい」と考える私たち研究者の最終的な「目標」なのです。

人工知能が賢くなればなるほど、私たちの生活は便利になります。しかし、その反面でコンピューターに仕事を奪われるのでは? と危惧している人たちもいます。また、SF映画のように、コンピューターに人間が支配される時代が来るのではと考える人も少なくありません。そのため、人工知能の可能性を考える際は、その利便性だけではなく、違う側面にも着目する必要があります。

身近な人工知能活用例

この人工知能、すでに皆さんの身の回りにも活用されています。例えば、スマホの音声入力が挙げられます。人間同士のようにはまだまだいきませんが、それなりに理解してくれるのではないでしょうか。また、ネットショッピングなどでは、人工知能による、レコメンドシステムが採用されています。これは、買い物客の傾向を人工知能が蓄積していて、こういう商品を買った人は、こういう商品もきっと購入の意向があるだろうと判断して、お勧めしてくれます。

かなり進んだ事例としては、乗換案内サービスがあります。単に駅から駅への最短ルートや、最安ルートを示してくれるだけではなく、今いる場所から、駅から離れた目的地までの行き方を教えてくれたり、雨の日には、なるべく雨に濡れないルートを選択できたり、階段が少ないといったルートまで教えてくれます。ロボットという意味では、家庭用のお掃除ロボットがあります。充電が必要になると自分で充電ステーションに戻るなど、ちょっと賢いですよね。

まだ実用化には至っていませんが、いま一生懸命研究されているのが、「自動運転」で、もうすぐ実現しそうなところまで来ています。実際、技術だけでいうと、人間より人工知能のほうが事故を起こす確率は低い、というところまで研究が進んでいます。しかし、ここで考えなければいけないのは、本当に人工知能に運転を任せていいのかということです。事故が起きた時どうするのか。誰の責任で誰が賠償するのか。開発者か持ち主か、そういった議論はまだまだなされていません。

しかし、高齢者の事故が社会問題になっている今、自動運転がその役割を担ってくれることで、移動の自由を手に入れることができる人も多かったり、飲酒運転が減ったりと、メリットも大きいため、様々な議論や検討を経て、2020年以降、一部で実現しそうな雰囲気です。

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2017年度リレーゼミ採録