第二回ゼミ
テーマ

「受験勉強を哲学する
普遍的な学力を求めて」

大島保彦先生(駿台予備学校 英語科講師)

2017年1月13日(金)、駿台お茶の水センタービルにて、第2回のゼミが開催された。翌日の14日、15日がセンター試験だったこの日のテーマは、タイムリーに「受験勉強」の意味を問うもの。駿台予備学校の人気講師、大島保彦先生が「受験勉強を哲学する 普遍的な学力を求めて」と題して講義を行った。

すべてを当たり前だと思わないこと

今日、何を話すかというと、僕自身もよくわかりません。問題文などの素材は用意しましたが、それについて全部しゃべるとは限らないし、そもそも配った素材についてすべてしゃべらなければならないというルールはどこにもありません。つまり何が言いたいかというと、人間というのは、暗黙のうちに何かをルールと考え、それを疑いもせず“当たり前”だと思っているんですよ。だけど当たり前だと思わないようにできると、世界は全く別の姿を現すかもしれない。今日はそんな話ができればいいなと思っています。

明日、明後日とセンター試験ですが、高2のみんなは来年、高1のみんなは再来年の今日、どうなっているのでしょうか。ドキドキしているのでしょうか。楽しみですね。ただし試験の前の日に完成されていて、詰め込んだ知識を全部センター試験の会場に運んでパッと出すイメージだと、ちょっとちがうかな、と思います。それまで準備したものを土日かけて吐き出すだけなら、その二日間は頭を使っていないことになる。そういうのは最低。だってよく考えてみてください。音楽家が昨日まで練習をして、あとはステージの上でそれを音にするだけ、と考えていたら、感動を呼ぶ演奏ができるわけがない。「練習したのだから今日の試合は勝てる」と考えるスポーツ選手も失敗するでしょう。だから試験の本番の時には、普段出会えないものと出会える、と考えましょう。つまり試験会場に持って行くものは、それまでの自分の体力や知力、あるいは勉強道具や心がけだけではなく、おそらく試験会場で出会えるだろう“何か”に対しての期待も忘れてはいけません。

入試問題は大学からのメッセージである

これは東大医学部の学生さんから聞いた話なのですが、彼女は物理の試験中、問題文を読んでいた時、内容が理解できただけではなく、出題者の教授が語りかけてくるのが分かって感動したそうです。きちんと心を落ち着けて問題文を読めば、解けるように作っているのだと受け止めることができたと。君たちにも、入試問題からメッセージをくみ取って欲しいんです。なぜなら世の中の対話は、そこにあるメッセージからその人の意図をくみ取る作業が必要になります。親としゃべっていても、友達としゃべっていても、目の前に出されたメッセージから、その向こうにある人生観、価値観、その人の言語の文法を推測しながら私たちは生きています。

例えばもう志望校の過去問研究を始めた人がいるかもしれませんが、過去問研究はどういうことかというと、すでに出された入試問題を通して、その向こう側、出題した先生たちは僕に何を求めているのだろう、と考える作業なんです。つまり人生にとってものすごく重要なことを勉強の世界でやっているのが、入試の勉強。この経験をどんどん積み重ねていって、自分の順番が回って来たときに、投げられたボールを的確に打ち返す、そういうイメージで入試に取り組んでください。

2017年度リレーゼミ採録