第一回ゼミ
テーマ

「新勢力均衡時代の米国と日本」

三浦瑠麗先生国際政治学者

2017年12月20日(水)、駿台お茶の水センタービルにて、2016年度に引き続き、2度目となる『知の広場』リレーゼミが開催された。第一回となったこの日は、テレビなどのメディアでもおなじみの国際政治学者である三浦瑠麗先生が「新勢力均衡時代の米国と日本」をテーマに、トランプ政権誕生後の米国と日本について講義を行った。以下にその内容をダイジェストにて紹介する。

トランプ政権誕生後の米国の動き

トランプ政権誕生後、まず取り組んだのが、イスラム系7カ国からの入国禁止令でした。それを受けCNNなどのリベラル系メディアは、トランプ批判を繰り広げましたが、週明けの世論調査では、トランプ氏に投票しなかった人までこの渡航禁止令を支持するという結果に。これはリベラル系メディアの敗北を象徴した事件でした。自国民のイスラム教徒を排除しようとする政策ではないのですが、トランプ氏が言っていないことまで過大に見積もり、トランプ氏の政策を倒そうとかかし論法を展開したメディアに、国民は必ずしも賛同しませんでした。トランプ氏はそこを捕まえて、フェイクニュースと名指しし勝ち誇ります。これがトランプの戦略だったとしたら、やはり負けたのは挑発に乗ったリベラル系メディアと言えます。

選挙戦中にロシアと二重外交を行ったというスキャンダルの際には、CNNなどのメディアは「ロシアは敵だ」というキャンペーンを張りました。また、メキシコの大統領との“喧嘩”もニュースになりましたが、この時も記者たちは面白がってホワイトハウスに詰めました。国境の壁について費用負担を求めたり、自由貿易協定を見直すと脅したり、付加価値税を検討したりといったことについてバッシングしました。オバマ政権が同じことをやってもニュースにならないことが、トランプ氏がやると新聞の一面ニュースになってしまう。つまり、トランプ政権は場当たり的に政策を打ち出しているように見えて実はしっかりと計算しているのです。

私はこうした作戦を軍事戦略のアナロジーで「衝撃と畏怖」戦略と名付けました。次々と乱暴な政策を出すトランプに、場当たり的に戦略なしにメディアが対応してしまう。メディアが失点するのを待っているわけです。

2018年度リレーゼミ採録