第二回ゼミ
テーマ

「円をめぐる数学」

雲 幸一郎先生駿台予備学校 数学科講師

2018年1月13日(土)、駿台お茶の水センタービルにて、2016年度に引き続き、2度目となる『知の広場』リレーゼミ第二回が開催された。この日は、どんな難問でも明快な解説で講義するスタイルが人気の雲 幸一郎先生が「円をめぐる数学」と題し、学校の数学の授業とは一味違う特別授業を行った。以下に本授業の趣旨を紹介する。

アルキメデスはいかにして円周率を求めたか

本日の授業は、皆さんが普段学校で受けている数学の授業とは少し違うものになると思います。この授業を聞いて、これまで見たことが無かったものに触れ、それに興味を持ってもらったり、面白いと感じてもらい、学校の授業とは違った視点から、今後の勉強やその他の活動に取り組めるようなきっかけをつかんでもらえたらと思っています。

「円をめぐる数学」ということで、皆さんは小学校のとき、円周率が3.14と習ったと思います。学校では、公式として「円周率=3.14」と暗記し、それが歴史的にどうやって求められてきたのか、までは触れませんよね。

円周率は、周の長さと直径の比率で、歴史的には紀元前2000年頃には、ほぼ3であることが実測から分かっていました。「数学」として円周率を求めたのは、古代ギリシャ時代のアルキメデスが最初だと言われています。アルキメデスは、紀元前200年くらいに、およそ3と言ったのではなく、それがどのような範囲にあるかということを、きちんと上下から挟んで、確実にこの範囲にあるということを証明しました。つまり、身長が約170センチと言われると分かった気がしますが、実は160センチしかもしれません。ただし、169センチ以上171センチ以下と言われれば、確実にその2センチの範囲内にあることがわかるわけです。アルキメデスの方法を上回る方法は、その後紀元1600年くらいまでが見つかりませんでした。アルキメデスはとてもすごい業績を残したわけです。

では具体的にどのように求めたのか。小数は1600年くらいにヨーロッパで登場した概念のため、アルキメデスの時代には小数という概念がありませんでした。そのため、アルキメデスは整数と、有理数(分数)だけで円周率を求めました。アルキメデスは、円に内接・外接する正96角形を用いて、円周率が3と10/71より大きく、3と1/7よりも小さいことを示したのです。

今日は、皆さんに当時アルキメデスがチャレンジしたであろう方法を実際に見てもらいたいと思います。また、授業の後半では、ルート3をどのように処理していたのかという道筋も併せて示したいと思います。

この後実際に、黒板を使って、アルキメデスによる円周率の求め方の過程がデモンストレーションされた。講義の終わりに高校生から「数学の魅力」を問われた雲先生の回答を次に紹介する。

次のページ » 数学の一番の魅力とは

2018年度リレーゼミ採録