第四回ゼミ
テーマ

「顔認証 日本のテクノロジーで世界に挑む」

今岡仁先生NECデータサイエンス研究所 主席研究員

2018年2月3日(土)、駿台お茶の水センタービルにて『知の広場』が開催されました。第3回ゼミとなる今回のテーマは「顔認証 日本のテクノロジーで世界に挑む」。携帯電話等にも使われる身近な技術ですが、高い情報処理技術が必要とされ、世界の多くの研究者が競います。その分野において日本企業の技術者が世界を圧倒しているのを知っていますか?米国国立研究所によるベンチマークテストで4回連続世界トップとなったNECデータサイエンス研究所 主席研究員の今岡仁さんに、顔認証技術の今と未来についてお話をいただきました。

認証には知識認証、物理認証、生体認証の3つがある

認証とは本人確認をする手段のことです。認証には、パスワードや暗証番号といった「知識認証」、鍵や証明書などの「物理認証」、顔や静脈、声、耳、歩き方などで確認する「生体認証」と大きく3つに分けられます。それぞれにメリット、デメリットがあり、例えば知識認証のひとつであるパスワードは100%認証できるという意味では使い勝手がいいですが、忘れてしまう場合があります。物理認証は物を持っていることで安心できますが、こちらも紛失してしまうことがあります。そこで、生体認証です。最近では顔認証で開け閉めできるマンションも登場しています。生体認証の特徴は、忘れたり無くしたりしないこと。認証できない場合があるというデメリットがあるのですが、これは技術の向上によって減ってきています。

顔認証というのは実はけっこう難しいのです。なぜ難しいかというと、顔は変えることができるから。眉毛はそることができるし、ひげをたくわえることもできるし、目を閉じたり開けたりはもちろん、メガネや化粧、整形、さらには双子などいろいろな要素がある。指紋とは違って顔は不変ではないからこそ、顔認証は研究され続けているのです。

ここで技術の説明をします。顔認証ではまず顔を見つけます。これは画像から顔を見つける基本的な仕組みを使っています。顔か、顔じゃないか、AIが顔の形を覚えています。次に目や鼻を見つけます。テレビなんかで目隠しすると本人が分からなくなりますよね。顔認証でも目が重要です。そして最後に照合します。ここはデータサイエンス。ざっくり言うと、お手本のデータを読み込ませて機械学習させるのです。2枚の画像を入れて同じ人物なら1、違う人物なら0。その間の重みを学習させます。どういう重みを決めるか、これには数学や物理の深い知識が必要です。処理の仕組みは人間の脳に近いところがあります。僕は大学では物理を勉強していたのですが、脳の勉強は社会人になってから始めました。脳は今でも分からないことがたくさんあります。ただよく聞く「5%しか使っていない」というのは少し誤解があります。大人でも子供でも、脳の大部分は活動しています。

2018年度リレーゼミ採録