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中学受験 SAPIX 小学部

DISCUSSION 座談会

教師が中心となり
選定する教材に特色

広野 両校はともに、伝統ある独自の教育で個性的な人材を育てることで知られますが、英語教育にはどんな特色があるのか教えてください。
稲垣 神戸女学院の英語教育は、赤ちゃんが母語を習得していく過程を模していることに特色があります。初めは動詞一つひとつについて教師が実際に動いて見せ、生徒には言葉(音声)と動作の関係をじっくり観察させます。その次に、英語特有の音を正確に発音し、聞き分けることができるよう繰り返し練習します。この時点でも、まだアルファベットは使いません。文字ではなく、まず音でしっかり英語に慣れさせます。
広野 検定教科書は使用しないんですか。
稲垣 教師が用意したプリント教材を主に使っています。本校では文法の進め方も独特で、be動詞の次が現在進行形、その次が助動詞can……という順番で導入します。毎回の授業内容に合わせたプリントを作成し、生徒の理解を高めます。
広野 なるほど、教科書だと何度もページを行ったり来たりしなくちゃいけませんね(笑)。
稲垣 あえて普通と違うことをしているのではなく、実際に使用する頻度の高い現在進行形を先に導入するほうが、生徒がスムーズに理解できるだろうということです。ひとつの知識を生かしてスムーズに次の理解へとつなげていけるように流れを工夫しています。
白井 灘にもそうした独自の教材がありますか。
海保 本校の場合は、教科書をベースにしたオーソドックスな内容が中心です。ただし進度は速く、おおよそ2年生の5月ぐらいまでに中学内容をひと通り終えます。副教材は教師がそれぞれ独自に用意しており、私の場合は海外ニュースサイトの動画をよく利用します。視覚情報がある分、中学生でも内容が理解しやすいからです。学年が上がっていくと、そのニュースをもとにディスカッションをさせたりエッセーを書かせたりすることもあります。
白井 先生によって使う教材がまちまちなんですね。
海保 そこが女学院さんとの違いで、「これが伝統的な灘の英語です」とお見せできるようなものはないんです。何年生の何学期までにこの内容を理解させる、といった大まかな目標はありますが、そこに至る道筋はかなりの部分まで教師に任されています。担任団が6年間持ち上がりで生徒を担当するので、責任は大きいですが、それだけやりがいもあります。

写真:和田孫博校長

未来の変化に対応する
真の「グローバル人材」灘中学校・高等学校 和田孫博校長

写真:海保雅一教諭

生徒の理解度にあわせて
独自の副教材を準備灘中学校・高等学校 海保雅一教諭

言語習得より大切な
「異文化」との交流

広野 留学や海外研修の制度についても教えてください。
和田 今年は治安の状況などを見てとりやめましたが、例年夏に実施している英国研修があります。参加するのは高校1年の有志だけですが、毎回50人ほどが現地のボーディングスクールの寮に部屋を借り、貴重な学びを体験しています。このプログラムの良い点は、英語が母語ではないヨーロッパやアジアからの参加者も多いので、多様な刺激を受けられることです。外国の若者は日本人ほどおとなしくないので、感化されてずいぶんたくましくなって帰ってくる生徒もいます。
白井 英語だけでなく、参加者それぞれの母語を教えあったりもできそうですね。
和田 私たちもそういう交流を大いに期待しています。なのでこのプログラムは語学研修ではなく、「異文化研修」という名称なんです。1カ月にも満たない滞在期間で英語力が劇的に向上することはないかもしれませんが、ここで受けた刺激はその後の人生にとって大きな財産になるはずです。
 本校にも、ちょうどそれと同じような研修プログラムがあります。ただしこちらは行き先がアメリカですので、出会うのは中南米やアジア圏の人が多いです。その他に新しい取り組みとしては「エンパワーメントプログラム」があります。夏休みの1週間、アメリカ人の教員や大学生リーダーとともに終日英語漬けで過ごすもので、「女性のリーダーシップ」をテーマに濃密な議論とプレゼンテーションを行っています。
白井 神戸女学院には、留学や海外体験に関心の高い生徒が多いイメージがあります。
 そうですね、意欲的な生徒が多いと思います。先ほどのエンパワーメントプログラムは、いわばミニ留学体験のようなものですので、そこからさらに本格的な留学やディベートの大会などへと興味・関心の幅を広げる生徒もいます。
広野 2020年度からの大学入試改革で、英語についてはセンター試験と民間の資格検定試験を併用する方針になっています。低学年時からそうした検定の受験を生徒に勧める、あるいは学校として対策講座を設けるような予定はありますか。
海保 学校現場としては必然的に対応せざるをえないと思っています。ただし、英検やTOEIC、GTECといった検定のうちどれが入試で採用されるのかはまだ決まっていませんし、CEFR(国際的な語学力基準)が成績判定にどう利用されるのかも、具体的なことはわかりません。いずれにしても試験の形式や場に慣れておくために、高校2年生までの間になるべく受験しておくよう勧めるだろうとは思います。
稲垣 本校では、中学3年終了時点で高校までの学習内容をひと通り扱うカリキュラムになっているので、中学3年生の初めに、実力だめしのために外部の検定試験を受けてみては?という投げかけはしています。現在も中学生で英検2級以上の級に合格する生徒が多数いますし、普段の授業を受けているだけで思った以上にできた、といった声もよく聞きます。今後のことはまだわかりませんが、改めて大学入試に向けた英検講座のようなことは、本校では必要ないのではないかと思います。
和田 高得点が出やすい検定と出にくい検定といった不公平が生じないか。高校3年時に2回だけという受験機会はそれで十分か。懸念も少なくありません。新しい入試のスタートまであまり時間はありませんが、できる限り受験生にとって納得のいく制度になってほしいと思います。

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