CKDがなぜ重要かというと、世界的に末期腎不全による人工透析患者が増加しており、医療経済上大きな問題であること、日本では成人人口の8人に1人がCKD予備群であること、CKDは糖尿病、高血圧などの生活習慣病と密接に関係し、国民の健康を脅かす心血管疾患のリスクが高まることなどが、その理由として挙げられます。CKDは蛋白(たんぱく)尿が出ている、あるいは糸球体濾過(ろか)量(残腎機能・GFR)が6割以下になったときと定義されます。年齢が上がればGFRは低くなりますから、年を取れば皆さん全員がCKDになります。したがって、CKDとうまく付き合っていくことが大事になります。
 腎臓病は大きく、腎臓そのものが悪い病気(慢性糸球体腎炎など)と、腎臓が被害者の病気(糖尿病性腎症、高血圧が原因の腎硬化症など)に分けられます。近年、透析患者さんは非常に増えていて、すでに30万人を超えています。透析導入原因疾患は、昔は慢性糸球体腎炎が多かったのですが、現在は糖尿病性腎症がトップで、腎硬化症も増加しています。
 CKDの危険因子には、自分で変えられるものと変えられないものがあります。変えられるものは、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、喫煙などです。これらは生活習慣の影響が大きく、生活習慣を改善することが治療にもつながります。
 私たちの施設で透析になった人とならない人では何が違うかを調べたところ、血圧が高い人、蛋白尿が多い人が透析に進みやすいことがわかりました。私は蛋白尿を「腎臓の涙」と名付けました。蛋白尿の多い人の特徴は、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧の人です。
 糖尿病の合併症は「しめじ」です。し=神経、め=網膜症、じ=腎臓です。減塩することによって蛋白尿が減り、透析への進行を防ぐことが可能です。そして腎症の早期発見に役立つのが尿検査(検尿)です。
 CKDの人は血圧を130/80mmHG以下にすることが勧められています。そのためにも減塩が必要です。塩分摂取は1日6g以下を目指しましょう。生活習慣を修正するだけでも血圧は下がりますから、減量、適度な運動、適度な飲酒、禁煙なども心がけてください。

 

八田 告(はった つぐる)先生 プロフィル
1992年島根大学医学部卒業。1994年近江八幡市民病院内科勤務。2000年近江八幡市民病院内科医長、透析センター長。2002年京都府立医科大学腎臓高血圧内科助手。2004年京都府立医科大学大学院医学研究科腎臓・高血圧病態制御学講師、腎臓高血圧内科科長・診療主任。2005年京都府立医科大学附属病院血液浄化部副部長。2006年近江八幡市立総合医療センター腎臓センター長。2010年より京都府立医科大学臨床准教授も兼ねる。
出身地 : 京都府京都市
趣 味 : テニス、スキューバダイビング、スキー、映画鑑賞