腎臓はそら豆の形をしており、腰のあたり、腰椎(ようつい)をはさんで左右に一つずつあります。大きさは握り拳大で、重さは大体みかん1個分、約120gです。こんなに小さくて軽いのですが、その中にたくさんの糸球体が入っています。
 そら豆とお話ししてみましょう。「元気ですか?どこか調子の悪いところはある?」・・・黙っています。腎臓はぎりぎりまで何も言わないので、CKDはサイレントキラー(静かな殺し屋)と呼ばれます。CKDは心臓病や脳卒中を起こす危険性が非常に高いのですが、かなり進行するまで自覚症状がほとんどないため、発見や治療が遅れやすいことが特徴です。
 遅れないうちに腎臓を大切にしたいと思います。そのためには生活習慣の改善が重要です。多くの日本人は減塩の必要性も方法もご存じです。でも、なかなかできません。
 米国ハーバード大学のジーン・メイヤー博士が提案した「夫を早死にさせる10カ条」というのがあります。その逆をまとめたのが、「夫を長生きさせる腎臓を守る10カ条」(下表)です。日本の男性の30%は肥満ですから、運動する、甘い物や動物性脂肪は控えめにするなどして痩(や)せさせましょう。薄味の食事に慣れさせます。塩は6gと、今日から寝る前に念じてください。睡眠不足も血糖や血圧の上昇につながります。
 これで、あなたもあなたの家族の腎臓も守られます。でも、もう一歩。おしっこからわかることもたくさんあります。尿に蛋白が出た場合、泡立つことがあります。尿に糖が出ているときは甘酸っぱいにおいがすることがあります。黒っぽいコーラのような色がついているときは血尿が疑われます。尿路感染を起こすと、尿が濁ってくることがあります。脱水状態や妊娠も尿でわかります。おしっこは明るい未来の宝水です。よく観察してみてください。
 腎臓病専門医はまだ少ないのが現状です。CKDはかなり進行するまで自覚症状がないので、病院を受診する人も少ない。主役は皆さまです。身近な方にCKDの意味を伝えていただけたら、CKDの早期発見・早期治療が可能になると思います。


水内 恵子(みずうち けいこ)先生 プロフィル
国立病院九州がんセンター付属看護学校卒業後、福岡赤十字病院勤務。2003年中村学園大学大学院の栄養科学部へ社会人入学。2005年栄養学修士取得。その後も福岡赤十字病院腎センターで勤務。2007年福岡日赤退職。広島へ転居。あかね会土谷総合病院CAPD外来専門看護師(現在は週1回)。2008年福山平成大学看護学部看護学科成人看護学講座講師。2009年同大学院看護学研究科慢性疾患・腎不全看護准教授。2011年同基礎看護学講座准教授。2012年同成人看護学講座准教授。
出身地 : 福岡県福岡市
趣 味 : 庭いじり、蔓細工、ツーリング。好きな歌は水戸黄門のテーマソング