慢性腎臓病(CKD)セミナー

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第2部 パネルディスカッション

CKDの食事療法のポイント ● パネリスト	秋澤 忠男 先生、市川 和子 先生 ● コーディネーター	西沢 邦浩 氏(日経BP社ビズライフ局 プロデューサー)

カリウムやリンの摂りすぎにも注意

西沢 会場のみなさんから食事に関する質問が多く寄せられました。なかでもけっこう多かったのが、アルコールはどの程度まで飲んでよいか。
市川 糖尿病、高血圧、尿酸値が高い場合などはある程度の制限が必要ですが、適量を守ればむしろ健康によいと言われています。目安量は日本酒なら1合、ビール缶1本ぐらいまでです。尿酸値が高い人はその半分量が目安です。
西沢 減塩についての質問も多いです。
市川 出汁の素や出汁パックなどを使うときは気をつけてください。入れるだけでおいしいような出汁の素には塩だけでなく、リンもけっこう入っています。最近は栄養表示に食塩相当量と書いてあるので、それを見て使ってください。
西沢 CKDリスクが高まってきたときの水分摂取はどう考えたらよいのでしょう。
秋澤 夏などは水分をとらずに脱水になるとCKDが急速に悪化します。ただし、腎臓には尿を作ったり、尿を濃くしたり薄くしたりする働きがあります。水をたくさん飲むと余計な水分は尿の中に出さなければいけない。それは尿を薄くしてどんどん出すということです。機能が低下した腎臓だと尿を薄くすることができず、血液が薄まってさまざまな悪影響が出てきます。日常、常に水分を多くとろうというのはCKDの患者さんでは得策ではありません。
西沢 なぜカリウムに気をつけないといけないかという質問も。
秋澤 血圧はカリウムを多く摂ったほうがコントロールはよくなるとされます。問題は腎臓が悪くなったときです。カリウムは腎臓から排出されるので、通常通りもしくは多めに摂ると体内にたまってきます。血液中のカリウム濃度が上がると心臓に負担がかかって不整脈や心停止を起こすリスクがあります。
西沢 ダイエット効果があると糖質制限が人気です。

市川 低炭水化物療法は極端になるとご飯を食べません。ご飯に相当するだけのエネルギーを肉や魚で摂ると、通常食べる量の倍のおかずが必要で、血糖値は下がりますが、健常者でも血液中の尿素窒素が上がってきます。極端な低炭水化物食はお勧めできません。
秋澤 低炭水化物食の医学的な是非、とくに長期的な是非についてはまだ決着はついていません。糖尿病が原因でCKDになった患者さんでも蛋白制限が大事ですが、蛋白制限をすると炭水化物や脂質からエネルギーを摂らないと体が維持できなくなります。少なくともCKDが進んだ糖尿病患者さんに低炭水化物療法を行うことは適切でないと考えます。
西沢 リンについてはいかがでしょう。
秋澤 リンが毒だと最初に注目されたのは実は透析患者さんです。亡くなる方を調べてみるとリンが高い人が多かった。その後の研究で、リンが高くなると骨からリンを尿の中に出そうと働くホルモンが出てきて、このホルモンが心臓や免疫系に作用してさまざまな悪さをすることがわかりました。今はリンを下げる薬もあります。
市川 ビールなどでも、こくがある、うま味があるというものはけっこうリンが多いのです。今は栄養表示にはカリウムもリンも表記されていないので、表記されるよう働きかけをしていきたいと思います。
西沢 本日はありがとうございました。

過去のCKDセミナーの模様はこちらからご覧になれます。
  • 2013年 CKDセミナー in 東京
  • 2014年 CKDセミナー in 東京
  • 2014年 CKDセミナー in 名古屋
  • 2015年 CKDセミナー in 和歌山
  • 2015年 CKDセミナー in 東京
  • 2016年 CKDセミナー in 東京