慢性腎臓病(CKD)セミナー

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第1部 講演 1

「慢性腎臓病に負けないぞ!」 猪阪 善隆 先生 ( 大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授  )

脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高い!

 腎臓の主な働きは尿をつくることです。1つの腎臓には糸球体というろ過装置が80万〜100万個あり、この糸球体で血液をろ過して尿をつくる能力が腎機能(GFR)です。それ以外にも、体液バランスを整える、血圧を調節するホルモンや血液をつくるホルモンを産生するなど、さまざまな働きをしていて、腎臓はこれらの働きを通じて全身の環境を整えています。そのため、腎臓が弱ってくると心臓病や脳血管障害が起こる可能性が高まるなど、ほかの臓器にも影響が出てきます。
 CKDは、①尿の異常(主に蛋白尿)、②腎機能(GFR)が60mL/分/1.73m²未満、のいずれかが3カ月以上持続する状態をいいます。GFRは血液検査のクレアチニン値から推算されることが一般的です。CKDの初期は自覚症状がなく、代表的な初期のサインとしては、尿の中に蛋白尿として現れます(図)ので、早く見つけるためには検尿や腎機能の測定が重要です。
 腎機能が10分の1程度になると透析が必要になります。透析導入の疾患として一番多いのは糖尿病性腎症で、慢性糸球体腎炎、腎硬化症と続きます。糖尿病性腎症は治療の進歩により頭打ちになってきましたが、高血圧や加齢によって腎臓が硬くなる腎硬化症は増えています。腎臓病のうちでは、Ig A腎症やネフローゼ症候群などが指定難病になっています。

慢性腎臓病の定義

 CKDを予防し、進行させないためには生活習慣の見直しが重要です。日本腎臓学会がまとめたガイドラインでは、減塩、減量、運動、禁煙などが推奨・提案されています。実際に減塩、運動などにより血圧は下がってきます。国民全体で上の血圧(収縮期血圧)が2㎜Hg下がると脳卒中は約6%、虚血性心疾患は約5%も減るとの試算があります。
 血圧管理も重要です。ポイントは減塩と家庭で測る血圧です。腎機能が低下すると夜間の血圧が少し高めになり、腎臓はトラブルを起こしやすくなります。ぜひ家庭で血圧を測ってください。運動は歩行が基本です。定期的に毎日30分以上を目標にしましょう。少なくとも10分以上の運動を合計30分でも達成できます。歩く習慣は腎臓病の進展(透析や移植の導入遅延)を抑えてくれるとの報告があります。
※Chen IR,ClinJAmSocNephrol 2014より

過去のCKDセミナーの模様はこちらからご覧になれます。
  • 2013年 CKDセミナー in 東京
  • 2014年 CKDセミナー in 東京
  • 2014年 CKDセミナー in 名古屋
  • 2015年 CKDセミナー in 和歌山
  • 2015年 CKDセミナー in 東京
  • 2016年 CKDセミナー in 東京
  • 2017年 CKDセミナー in 東京
  • 2017年 CKDセミナー in 大阪
  • 2018年 CKDセミナー in 東京
  • 2019年 CKDセミナー in 神戸