
とにかくびっくり。研究すること自体が楽しくて、それで十分満足していたのに、そのうえ賞までいただけるなんて。この研究では赤土カラムの作製がなかなか思うようにいかなくて、何度も試行錯誤を繰り返しました。苦労した研究が専門家の先生に評価していただけ、本当にうれしいです。また交流会で全国の高校生といろいろと話ができ、とても刺激になりました。

現在、飲料水のヒ素汚染が世界各地で問題となっている。特に、バングラデシュ、インド西ベンガル地方での地下水のヒ素汚染は深刻である。深刻化するヒ素汚染に対して現在用いられている除去法は、コストが高く容易に用いることのできないものが多い。
そこで本研究は、安価で入手が容易な材料である赤土が、ヒ酸イオンの吸着除去剤として使用可能であることを示すことを目的とした。赤土がヒ酸イオンを吸着するのは、赤土に含まれる水和酸化鉄の性質によるものであると考えられる。
本研究では、赤土を用いたヒ素除去システムの開発を視野に入れ、赤土に対するヒ酸イオンの吸着挙動について詳細な検討をおこなった。具体的には、まず、赤土が溶液中のヒ酸イオンを吸着することを明らかにした。次に、赤土を焼成し、その焼成温度とヒ酸イオンの吸着率との関係を調べた。赤土を焼成した理由は、粘土状の赤土を焼成することで団粒状にして、ヒ酸イオンの除去装置として作製する赤土カラムの通水性を高めるためである。実験結果から、最適な焼成温度を300℃と定めた。未焼成の赤土と、300℃で焼成した赤土の吸着能力を比較したところ、ほぼ同じであった。また、得られた結果を、ラングミュアの吸着等温線を用いてデータ処理した。その次に、300℃で焼成した赤土と未焼成の赤土のヒ酸イオン吸着に対する時間依存性を調べたところ、吸着平衡に達するまでの時間は、共に約120分であることが分かった。さらに、吸着のpH依存性を調べたところ、pHが小さいほうが、吸着が促進されることが分かった。そして最後に、300℃焼成赤土を用いて赤土カラムを作製し、カラム通水実験をおこなうことで、赤土カラムが効率よくヒ酸イオンを除去することを明らかにし、実用化を目指した安価なヒ素除去システムを提案した。
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