これが世界の高校生の研究だ!
 ISEFに出場できるのは、ISEFと提携した世界の500以上の科学コンテストで優秀な成績を残した学生たち。今回のアリゾナ大会には45の国や地域から約1,400人のファイナリストが集まり、1,166のプロジェクトが発表された。14のカテゴリーに分かれて展示される研究は、基礎科学から応用技術まで幅広く、日本では文系の分野に入る社会科学系の研究もある。なかでも出展数が多かったのが215件の「Engineering」、199件の「Environmental Sciences」、154件の「Medicine and Health」の三つ。アメリカが主体の大会ということもあってか、バリアフリーやロボット、環境分野、医療健康分野などの応用技術系の研究の割合が多かった。ISEFに出場したプロジェクトのうち19%が特許を取得済みか取得手続き中だというが、各分野で今注目を集めている最先端の発見や技術の実用化や改良、コストダウンを図るものなどが多い印象を受けた。同時に地域の動物や植物を研究したほほえましいものや、自分の趣味をとことん追求したようなユニークな研究も見受けられる。統一の基準ではなく、さまざまな国や地域が独自の基準で選んだファイナリストが集まるため、スタンスの違うものが同列で並んでいるのもISEFの面白さだろう。
 いずれにしろ「タイトルを読んだだけで引きつけられるものが多い。どの研究も発想が面白く、知的好奇心にあふれている」と上野先生が言うように、ISEFのレベルは非常に高い。なかには最先端の研究所にしかない実験装置を使った、大学院レベルの高度な研究もある。JSEC遠征団のみんなも、世界の高校生たちのブースを見学して、あらためて世界のレベルの高さを痛感したようだ。
 
今回2回目の出場となるミシガン州のクインティシアさん。彼女が研究したのは、ブドウなどに含まれ、抗がん作用で注目されている「レスベラトロル」。「ISEFは毎回、最高に楽しんでいるわ。この研究をもっと続けて、将来はがんの研究者になりたいの」   「今やどんな分野でも重要なことには科学がかかわっているし、科学は未来そのもの」と語るのは、バージニア州のニーナさん。彼女の研究は、経済的で精密な虹彩個人認証システムの開発。
 
子供たちに大人気だったGooglerを開発したのはニュージャージー州のジョージ君。Googler はGPS座標と写真をもとに、障害物を避けながらものを探し出すことができるロボット。「バードウォッチャーや倉庫の管理人、スーパーのスタッフに使ってもらえれば、とても役立つと思うよ」   リコー賞を受賞し、愛知万博に招待されることになったユタ州のテイラー君とダニエル君。「日本に行くのがとても楽しみ」と語る彼らのプロジェクトは、フロンを使わない自動車エアコンの開発。2種の金属を合わせて電圧をかけると片方が熱くなり、片方が冷たくなるペルティエ効果を応用したもの。
 
コロラド州のアダム君が開発したのは、どんなに揺らしても安定して撮影できるカメラ。   小麦の生育に対する土壌の水素イオン指数の影響について研究したインディアナ州のステイシーさん。
 
最優秀賞のインテル青年科学賞を受賞した、アブドラソール君(イリノイ州)のブース「Prototype for Autonomy:Pathway for the Blind」(行動社会科学部門)。GPS技術やボイス信号、ブレスレット型の振動装置などを組み合わせた視覚障害者のためのナビゲートシステムの研究だ。盲人の父からインスピレーションを得て取り組んだものだという。   同じくインテル青年科学賞を受賞したシュルツ君(ドイツ)のブース「From Synthesis to Analysis of Radical Inhibitors」(化学部門)。強力な抗酸化物質であり、発ガン物質の活性化を抑制する効果があるといわれる「フラボノイド」を合成、解析するための電気化学的な手法を開発。超小型チップによるローコストなこの手法は、広く普及する可能性を秘めている。
 
エンジニアリング部門最優秀賞(Intel Best of Category Award)を受賞したライアン君(バージニア州)のブース。マルチフリーウィング無人飛行機の性能評価に関する研究。   環境科学部門最優秀賞を受賞したステファン君(バージニア州)のブース。植物の力で安価にヒ素に汚染された水を浄化する技術「フィトフィルトレーション」の研究。
 

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