テルミット反応は派手な反応で前から興味があったのですが、偶然、この反応のなかで本来は関係ないルビーのようなものが見えました。そこでテルミット反応でルビーを合成する研究を始めたのですが、どこにも資料はない。すべて手探りでした。テルミット反応は火花が出て危ないし、反応時間も短いから扱いにくい。実験にはそれなりの技術が必要です。今回はファイナルに残れただけでも儲けものだと思っています。これから本格的に受験勉強に取り組みますが、好きな化学の研究を仕事にできれば最高ですね。(本多)


テルミット反応は、高校化学実験の中でも、見栄えのする実験である。私はこの実験に心引かれ、個人研究のテーマに選んだ。この反応は鉄を得ることが目的とされるが、同時に鉄以外の生成物もできる。これは等の混合物と考えられる鉱物様の無機物質である。そして、その中にはを成分とするルビー様の鋼玉も混じるのではないかと考えた。つまり、この反応の反応熱を利用して人工ルビー合成を目指したのである。これは偶然鉄球上に生じた赤色のガラス状球体に着目したのが始まりで、以後その再現性をもとめ、反応条件・環境の工夫を続けた。
授業で行うテルミット反応では、反応試薬をコーン状に折ったろ紙に入れてこれを砂の中に埋めて反応させていたが、これでは保温に不十分だと考え、石膏・粘土等で自作反応炉を作ることからはじめた。まずは、反応温度の保持のために炉を粘土(エンゴロ土・童仙傍粉等)で作り、さらに形も改良し、通常よりもかなり縦長としている。また、炉の外側はバーミキュライトで覆い、さらなる保温性の向上を目指した。炉壁についても粘土(アルミニウム/ケイ酸塩)のほかに石膏(硫酸カルシウム)も使って比較した。
生成物(鉄及びスラグ)については表面を金属顕微鏡で検鏡し、写真撮影をした。さらに、手持ちの金属顕微鏡を改良して偏光顕微鏡を作り、生成物の判別に役立てた。また、生成物の硬度を調べることで成分の推定の手がかりとした。
ルビー様生成物は鉄球とスラグの境目、スラグと炉壁の境目にみられたが、ガラス状のものや、細かいが美しい透明結晶が得られた。
以上の研究を進めていく中で、私はテルミット反応を鉄の製法としてだけ考えるのではなく、スラグ鉱物に着目することで地球誕生のマグマ反応のモデルに見立てる事ができるのではないかと思った。
ルビーそのものの良結晶はまだ得られていないが、現在もその生成確認に向かい鋭意研究中である。



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